小松市から白山市鳥越に入る道路沿いに岩倉城があります。
道路沿いに案内板がありましたので登ってきました。後ろに見えるのが岩倉山です。
案内板の道路の向こう側に遊歩道への入口がありますが、案内板側からは見にくいですね。
岩倉山は杉の木で覆われています。
軽自動車も通れる幅の遊歩道を進むと、途中に案内板がありました。ここから40分程度で頂上のようです。
少し進むと「おうめ地蔵」がありました。案内板がなく由来はよくわかりませんが
和やかなお顔の地蔵様です。
しばらく行くと、車道幅の遊歩道は切れ、けもの道幅の登山道となりました。後で考えるとここから頂上まで40分だったようです。
数10メートル登ると、「さむらい道」右という石碑がありました。道は上にも続いていますが、石碑に沿って右に曲がります。
遊歩道とは違う元々の登山道のようです。非常に雰囲気にある道でしたが、ずっと下っていきます。
遊歩道も登ってわずかに下がる場所もあったので、いずれ登ると思っていましたが、約10分やはり下っているので、これでは麓に着いてしまうと思い引き返しました。
戻ってみると、先の木に城址の矢印が逆になっているではないですか!
気を取り直して登ります。この山の地肌は基本的に岩のようです。それが山の名前の由来かもしれませんが、雨の日や大雨の後だと登山道は滑りやすくとても登れそうにはありません。登山道は完全に雨の通り道となっていて、長年表面を削られています。
登っていくと、「馬かけ馬場」に出ました。
案内板には「眺望良好」と書かれた場所で、朽ちた看板が下に横たわっています。
しかし、現在はこんな状態・・・・。本来であれば麓の集落や道路が見渡せるはずであったのですが、杉木が成長しすぎです。城跡が整備されたのが今から20年ほど前になるようで、20年も経てば杉も大きくなりますね。
さらに進むと大きく開けた平地に出ました。
ここは「米左衛門屋敷跡」です。岩倉城は加賀一向宗が越前の朝倉氏に対抗した築城した山城で、最初の城主が沢米左衛門と伝えられています。
屋敷跡の本丸側出口には「米左衛門地蔵」がありました。
さらに進むと、「岩倉城址」が左側、「岩倉観音」が右側の分かれ道に出ました。
時間も足りなくなっていたので「岩倉城址」に進みます。虎口らしい部分に入ると小さな平地に出ました。そこが「変形馬出」となります。写真中央付近が入口の虎口、その向こうに本丸の土塁と帯郭が見えます。
この変形馬出から本丸に入る枡形虎口が一揆勢方の大手口となります。織田方に奪われた後は搦手口となりました。
本丸は非常に広い郭です。回りに土塁が巡っています。良好に土塁が残っていますが、やはり眺望がきかないのが山城としては非常に残念です。
「一向一揆古戦場」の木碑とともに案内板が設置されています。
案内板を見ると、この本丸を中心に非常に多くの郭が残っているようです。
本丸から平入虎口を出ると、
そこは角馬出と
本丸帯郭を伴う二の丸となります。平入虎口は一揆方の搦手口、織田方になって大手口となりました。
二の丸の先には三の丸が広がります。
その北側には空堀を兼ねる登山となっていますが、こちらは整備されておらず、先の道が全くわからなくなっています。
本丸に戻ると、東口の近くに、投げ石が残っていました。一揆方が500年前に運び込んだものと思われます。
東口をまっすぐ下りてしまうと腰郭に出てしまいましたが、少し戻って下りると岩倉観音に出ました。この観音がある場所は大きな帯郭となっています。
あまり清掃はされていないようですが・・・
中には石造の千手観音様、狛犬が大事に保管されていました。
戻る途中、水が流れる小さな橋を渡ると、
「清水地蔵」が祀られていました。
麓まで下りてくると、案内板をもう一度見ました。どうも二の丸の位置が違うようです。二の丸の指している場所は角馬出であり、白い帯郭の部分が二の丸としたほうが適切なようです。
調度案内板の前に駐車していたところで、そのお宅のご年配と話をする機会がありました。
この集落は17軒しかないようです。集落の人間もめったに登らない山に登る人が珍しかったようですが、良好に残る山城の特徴は県内随一です。そんな山城が宣伝もされずに埋れているのは確かに勿体無いですが、そのおかげで未だにここまで残っているのも確かですね。以前三重県などからも登るために来たとか!これだけの遺構が残っていれば遠方から来ても一見の価値はありますね。
織田方との争いの時代になると、鳥越城の支城として街道を監視する役割を担った岩倉城は、本城の鳥越城と近郊の二曲城が国史跡になったにもかかわらず、自治体が違うというだけで文化財指定もないようです(市指定ぐらいにはなっているのかな?)。
この辺りではよくイノシシが出るそうです。つい最近もそこの山に出たそうです(遊歩道の途中にオリがあった)が、クマは最近でないようです。一昔は鹿もいたそうですが、移動して今はいなくなったとのことですが、今日は何にも会わなくて良かったです。