今日は雨天を覚悟していたのですが、晴れました。うれしいです。
金沢城三の丸では「金沢城まつり2009」を開催中でした。
といっても宣伝は地元新聞の今朝の記事これだけ。城内でもチラシや立て看板は他に見当たらず、力が入っているのかどうか?観光客も少なく、主催者がかわいそうでした。
最初は忍者ショー!
立ち回りもしていましたが・・・・
途中から大道芸になってしまいました。観客の子供も巻き込んで・・・この辺りはさすがです。
昼からは殿と腰元のマジックショー。なぜこの格好なのか不思議ですが、腰元たちの本格的マジックの合間に、殿のコミカルな手品(ここはあえてマジックとは言わないでおきます)が笑いを誘っていました。最後のイリュージョンで、催眠術で浮いているところは新聞社記者も写真を撮っていました。
間近で見てもタネが分りませんでした。なかなかのものでしたよ。
さて、本日は第4回金沢城河北門現場見学会でした。1時間前の受付開始から大勢の方がやってきます。
今回は地元新聞での広報は見かけなかったですが、今までの参加者に直接案内した効果なのか、始まってみれば150名も大人数!驚きです。
2班に分かれて自分は鯉喉櫓班に行きました。さらにここで2班に分かれます。
足場を渡って間近に石垣を見る機会を得ました。
何度か聞いたことのある説明でしたが、石は前面より後ろに長い牛蒡石で、隣りの石とはわずかに隙間を作ります。これは石が重力で割れるのを防ぐためで、石の中程に接点を持たせています。さらに、この接点は下の二つの石にかかるように乗せるという石積みのセオリーのようなものだそうです。
その後は石加工の現場説明です。今回は大きな隅石の加工風景でした。
最後の仕上げ工程、専門用語では「石をはつる」と言います。
手前の小柄が男性が、金沢の名石工として有名な明地兄弟だと今日始めて知りました。
河北門南石垣台を古写真どおりに積むために、この兄弟無しには為しえなかったであろうと言われる有名人だったとは・・・今までの見学会でも何度もお目にかかっていたのに、全く気付きませんでしたよ。
見学現場では石工の道具も並んでいました。
今日の見学会で判明したことをいくつか
1.鯉喉櫓台の北側は土盛りがされ、北面から櫓台に上る階段がつきます。櫓台上からいもり堀を・・・というアングルで写真が撮れます。
2.元のいもり堀は道路を挟んで対面まで渡る広いものであるので、今回の堀底は本来の堀底から数メートル上になります。そのため、復元鯉喉櫓台は9.3メートル(藩政期石垣4.5メートル、復元石垣4.8メートル)の高さになりますが、藩政期石垣はさらに下に5メートル弱ほど埋まっているのです。つまり、元々9メートルほどの石垣が残っているのですね。
3.鯉喉櫓台の復元石垣部分は裏込めに石ばかりを詰めています。見学前の最大の疑問であったこの事を質問してきました。結論は、石ばかりを詰めたほうが水はけだけでなく、強度も強いそうです。土盛りより強度が強いとは意外でしたね。こうなると、最後の関心は上面をどう仕上げるのかですね。
次に河北門に移動しました。
ここでもやはり2班に分かれて、まずは大鬼の見学です。人と比較してもその巨大さがわかります。総重量140キロ!
継ぎ目は錫をまぜたハンダでしっかり水漏れを防いでいます。
中の木型は空洞も多く、総重量の軽量化に役立っています。
大鬼には前田家の家紋である剣梅鉢紋がついています。
次に市民としては工事中初めて一の門をくぐり、海鼠塀の目地漆喰仕上げ工程の見学です。
鉛製の平瓦はステンレス製の釘で上下2箇所ずつ固定されているそうです。釘は漆喰の目地の下になります。
以前は鉄釘を使用していたそうで、錆びにより釘が膨張して抜けにくくなる反面、頭の錆びが目地漆喰のヒビの原因ともなるため、今回はステンレス製を使用しています。
職人さんが小さな小手で何度も丁寧に丁寧に目地漆喰を仕上げています。
きれいな海鼠を作るための根気の要る仕事ですね。
海鼠塀の裏には真新しい狭間が見えます。
二の門の石垣東面では地面が掘り起こされ、雨樋となる溝が出ていました。これから溝の復元にかかるのでしょうね。
さて、最後に二の門に上りました。
ちょうど大鬼の取り付け作業を見せていただけました。今日見た大鬼は反対方角に取り付けられます。
足場でこうやって二の門を外側から見る事ができるのもあとわずかです。というのも、12月にはこの足場が取り外されるそうです。囲いも外されるそうですが、春になってからのほうがよいのでは?と素人は思うのですが、何はともあれ年末には菱櫓を背景にした河北門の写真が撮れる?のかな
その直前の11月末に最後の現場見学会が開催される予定です。
ムラ直しの終わった二の門の壁は、漆喰塗り職人が20数名並んで一気に漆喰塗りされるそうで、次回見学会のときは真っ白の二の門を見る事ができるでしょう。
これで今日の予定はすべて終わりましたが、参加人数もあってか、すでに30分も時間オーバーしています。
が・・・今日はさらにオプション見学会が用意されていました。その石川門修復現場に向かいます。
出し部分で説明を受けます。こちらの出しでは石落としの板が外されていました。
太鼓塀北面の内側はムラ直しが終わり、漆喰塗りを待つばかりです。
東面の出しでは「出し柄振板」に付いた屋根跡について説明がありました。出し柄振板の役割は出し部分での太鼓塀の境目を隠すことですが、上部に残る屋根跡は、出しのほうが古いことを物語っていて、太鼓塀が後年の修復で元のものより低く作られたことが原因です。
東面でも漆喰塗りは今からですが、来年度は石川門南側太鼓塀に取り掛かるそうです。
今日は屋根瓦を敷く作業の真っ最中でした。
終わってみればすでに5時。1時間オーバーの見学会は充実したものでしたが、最終となる来月末、何人の参加者が押し寄せるでしょうか。