平成27年度講座 考古学最前線

石川県埋蔵文化財センターの講座が県立美術館で開催されました。

考古学最前線

テーマによって行ったり行かなかったりしてますが、今年は水上交通がテーマで河北潟近くに住んでいる者としては興味がありました。

考古学最前線

最初に埋文の川端氏が「北加賀の古代水上交通」というテーマで古代の県内の港の話がありました。

古くは舟が小さかったり、航海技術が未成熟だったこともあり、港(津)は海に面して造るというよりも、海から少し入った潟に造られていたそうです。県内には能登に邑知潟、加能境に河北潟、加賀に木場潟・今江潟・柴山潟の加賀三湖があったので利便は良かったのかもしれません。

考古学最前線

河北潟は現在は半分以上を埋め立てられてしまいましたが、潟の特徴としては流れ込む川の数に比べて、海に流れ出す川が圧倒的に少ないということではないでしょうか。そのため、潟もひとかたまりというわけではなく、周辺にフゴと言われた湿地帯が多数あったそうです。

続けて滋賀県立琵琶湖博物館の用田学芸員から「都と日本海をつなぐもの」というテーマで講演がありました。

馬よりも舟のほうが大量に早く物資を運べることに着目し、織田信長は安土、長浜、坂本、高島大溝という4地点に城を築いて湖上交通を統制しました。その場合、南北の道は坂本-長浜ということになるでしょうが、さらに北の塩津に大きな港町があったという話に特に興味を持ちました。

考古学最前線

この話は今週水曜日に報道されるということで、数日フライングでしたが、塩津地内の国道の付け替え工事のなかで、湖岸から大規模な遺跡が見つかりました。

考古学最前線

水が入ってくるので大きな枠を打ち込んでの大がかりな発掘調査ですが、桟橋の石畳や周辺から多量の遺物が発見されました。

考古学最前線

塩津は一山越えれば敦賀に通じているので往来は多かったのでしょう。運送業(舟や馬を扱う)の人たちだけでなく、鍛冶や細工師、塗師などの職人、飲み屋などの繁華街があったであろうということ。ただ、あまりきれいな場所ではなかったようです。

道はすでに完成したということですが、工事は年度末まで続いているようなので見てみたくなりました。