台風が日本列島に近づき、ここ北陸も大雨に見舞われています。
今日は石川県立美術館広坂別館で特別展の記念講演会が開催されました。先着70名で急ぎ申込みした講演ですが、周りの顔はよく知る顔ばかりです。
「加賀八家」と本多家というテーマで、本多俊彦氏と長谷川孝徳氏のお二人が講演しました。
まずは高岡法科大学准教授の本多氏は、「知行宛行状と叙爵にみる加賀八家」という知行宛行状という今まであまり聞いたことのない深いテーマでした。実は、本多蔵品館館長である現15代当主のご子息です。
叙爵とは従三位など朝廷より官職をいただくことですが、朝廷の直臣は各大名家であるので、本多家のような大名家前田家の家臣が官職をいただくことを陪臣叙爵といいます。
陪臣叙爵は尾張・紀伊・水戸の御三家と加賀前田家のみに許されたものですが、尾張・紀伊が6人、水戸5人、加賀4人という人数が大名の叙爵の官位によるものだと始めて知りました。加賀前田家は従三位参議なので4人と決められていたようです。
藩主である前田家から家臣に出される知行宛行状が、身分により、宛名書の書き出し位置が変わったり、書止や敬語の決まりごとで文字の崩し方や漢字なのかひらがななのか、ということが決まるという事実が実に官僚的です。
次に、元石川県立歴史博物館学芸員で、現在は北陸大学教授の長谷川氏による「八家の職務内容」というテーマによる講演。軍事組織がそのまま平時には行政組織となる、実に効率的な組織ですが、その伝統はどうやら今は連綿と続いているようです。
ちなみに、加賀前田家の家臣の役職は、最高位が「年寄」、次が「家老」、そして「若年寄」。家老が藩主の次ではないのでご注意を!
講演会終了後、講演会でも紹介された古文書を見るために、藩老本多蔵品館へ行ってきました。