編集・発行:金沢市教育委員会
発行日:1985年3月初版
ページ数:101P+附図1枚
定価:非売品
オススメ度:★★★★☆
書評:
「城郭は、庶民の生活など当時の歴史を知る上で何よりの貴重な財産でありますが、県内における城郭の調査研究は、高尾城跡の土取り問題に端を発し、昭和45年頃から急速に進んだと言えます。昭和46年には、中世、近世における城郭、館、寺社跡が調査され、石川県史蹟カードの作成を見ました。当時の調査は、文献を基本とした所在地の確認を主とするもので、遺構の現況を明らかにした図面等の作成されたものはごく少ないものでした。それでも、名称のあがったものは金沢市内だけで160近くになりました。昭和53年には、急速に進む宅地開発、土砂採取等に対処するため松根城と朝日山城を緊急調査し、昭和54年には鷹巣城の測量調査を終えました。
今回の城郭調査は、昭和58年から着手したもので、昭和46年の調査を基礎データにしながら、城郭と城の機能を有していた館、寺社の遺構の状況、範囲、形状などを図面化することを主な作業としました。本書の作成にあたっては、現況を忠実に表現することに努めましたが、遺構の明らかでない木越三光と若松本泉寺については、小字、地名図と耕地整理前の面影を知る手がかりとなる図面などを載せることになりました。」
附図が古城の位置が分かって使いやすい。木越光徳寺と若松本泉寺については地名図が非常に参考になる。松根城、鷹巣城、高尾城については別途金沢市教育委員会から発掘調査報告書が出ているのでそちらが詳しい。金沢城は簡潔に触れてあるのみなので、後の金沢城研究調査室(現在、金沢城調査研究所)の報告書などから情報収集する必要があります。本書は購入ままならず、一部をコピーで入手した。
<2010年7月1日>
ようやく古書として入手することができた。
[目次]
一 地形図編
(1)松根城
(2)切山城
(3)梨木城
(4)上野城
(5)北方城
(6)堅田城
(7)亀田館
(8)木越三光
(9)御屋敷
(10)荒山城
(11)田島堡
(12)高峠城
(13)若松本泉寺
(14)鷹巣城
(15)金沢城
(16)高尾城砦群
二 古文書編
(1)古城跡の文献について
(2)石川河北能美郡由来帳
(3)加能城址集覧
(4)加越能三州古城考
(5)城跡書上申帳
(6)加越能三州山川旧跡誌
(7)官地論
三 絵図編
(1)中村ヨリ医王山等江之道筋
(2)薬師道筋トボケヨリ東原等江之道筋
(3)東蚊爪村ヨリ南森下村迄道筋
(4)薬師道松根峠砺波郡境迄道筋
(5)今町村南住環ヨリ田近道筋砺波郡境迄
(6)越中福光ヨリ二俣通リ金沢往来道筋
(7)御上使往来道筋
四 調査の日程および調査員
附図 金沢市古城跡位置図 付.藩政期主要道筋