発行元:白山書店
発行日:1987年5月初版
ページ数:189P
著者:浅井茂人
定価:1,200円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「長享二年五月、いまから丁度五百年前、金沢市南郊の高尾城は加賀・能登・越中の農民一揆二〇万に取りかこまれた。一揆の指導者は鳥越の弘願寺、木越の光徳寺、磯部の勝願寺、吉藤の専光寺等の大坊主及び有力国人たちであった。激しい戦いの結果、六月九日城は落ち守護富樫政親は自刃した。以後約百年間にわたって加賀はいわゆる『百姓の持ちたる国』となる。この百年間は又戦国時代百年間とかさなり、一向一揆こそは戦国の主役であった。ところが五百年後の現在、この輝かしい人民の歴史も人々の記憶から忘れ去られようとしている。一揆の発現地、加賀においてすら今や風化の道を辿ろうとしている。人々の意識の風化をなげくよりもまず人々の意識をかきたてる仕事こそ、いま吾々がなさねばならない仕事ではなかろうか。そのためには一人でも多くの人々に一向一揆の歴史について知ってもらいたい。この念願からささやかながらこの書をまとめてみました。」
加賀を中心にした一向一揆の歴史をまとめたもの。自ら関連する遺跡を踏破したり、調査したものではなく、先人の著作をまとめたものであるようだ。ただ、一向一揆に関する専門書はあるものの一般書とは少なかったことから一定の意義を持つと考えるが、絶版状態なのは残念である。
[目次]
第一編 序章
第二編 一向一揆史
第一章 荘園体制からの開放闘争
第二章 大名領国化を目指す諸勢力との闘争
第三章 本願寺領国の政治と経済
第四章 畿内統一政権に対する闘争