発行元:能登印刷出版部
発行日:1987年12月初版
ページ数:165P
著者:辰巳明
定価:1,500円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「この小冊子は元金沢二水高等学校・金沢泉丘高等学校・盲学校教諭辰巳明の遺稿を、遺族が整理したものである。この論文が書き起こされた経緯は筆者自らその未完の『あとがき』に記している。」
金沢周辺の一向一揆に関連する城砦の研究であるが、地元民ならではの持論が新鮮である。発行部数が非常に少なかったのか古書店で初めてみた。県内図書館には数多く収蔵されるものの貸出禁止されているものが多い。同類の研究は少なく、本書も著者が病気で中途となっているため、引続き研究の必要があろう。その際はぜひ本書を下地にしてもらいたい。
[目次]
はじめに
一、”消された城砦”とは
二、”隠し砦”に変身
三、先学の城砦探訪
四、”父祖の心”をくみ取ろう
第一章 一向一揆考
一、一向一揆の呼称
二、一向一揆の原因と背景
三、一向一揆の主体
四、減税闘争の成果
五、在所長衆の実態
第二章 一向一揆前代の小立野台地周辺考
一、田上の駅家と山崎凹市 金沢の原点
二、時衆の村々 真宗弘通の前提
三、田井の伝承 山の民の信仰につながるもの
四、村々のつわものども
第三章 「百姓ノ持チタルヨウナ国」時代の小立野台地周辺考
一、”若松の御山”本泉寺
二、牛首堡
三、山崎陣地と山崎堡
四、田井城
五、石浦堡
六、石那坂堡 ”若松の御山”防衛陣地
第四章 ”本願寺の持ちたる国”時代の小立野台地周辺考
一、金沢御堂の建立 本願寺北国総本山
二、”金沢の御山”
三、金沢御坊の滅亡
むすび 城砦探訪から見えてきたもの