発行:福光町
発行日:1993年3月初版
ページ数:448P
編者:医王山文化調査委員会
定価:非売品
オススメ度:★★★★☆
書評:
「富山県の最西部、石川県金沢市との境に位置する医王山は、古くより泰澄開山の山として人々に崇められてきた霊山であります。しかし、往古四十八か寺三千坊があり、山岳宗教のメッカであったと今に伝えられているほどには、その様相は明らかではありません。今回行われたこの調査事業は、町民の強い要望により、ふるさと創生事業の一環として我々の心の故郷再発見とも言うべき医王山山岳宗教の解明、また人々が山から受ける恩恵の数々、そこから派生する文化を究明しようとするものであり、当町のような規模の自治体では、行われることが稀な学術的総合調査事業であります。」
石川県金沢市と富山県南砺市(旧福光町)にまたがる医王山に関する唯一の調査報告書。遺物、歴史に留まらず地質、自然、宗教、民俗と多方面に渡る結果が掲載されている。すでに発行自治体はなく、入手しにくいのが残念だ。
[目次]
序章 医王山文化調査の足跡
(一) 調査の経緯
第一章 医王山の自然
(一) 位置、地形、地質
(二) 動植物
第二章 医王の山と里の遺跡を探る
(一) 調査の概要
(二) 測量調査の成果
(三) 発掘調査の成果
(四) 医王山山岳宗教遺跡の構造と沿革
第三章 医王の山と里の歴史を探る
(一) 医王山修験から里の修験へ
(二) 医王山麓における真宗の足跡
(三) 医王山麓の平野における中世の景観
(四) 明治の裁判絵図からみた石黒庄弘瀬郷郷域
(五) 巻頭下知状(読み下し)
第四章 医王の山と里の民俗
(一) 医王山麓の村々と民俗
(二) 医王山の山麓堂祠と信仰
(三) 医王山山岳宗教伝承(医王山系寺院調査)
(四) 医王山麓の伝承地名
(五) 医王山をめぐる古道
(六) 福光町の中世石造遺物
(七) 医王山をめぐる伝説
(八) 医王山と登山
(九) 医王山と文学
医王山文化調査を終えて