出版社:山梨ふるさと文庫
発行日:1996年9月初版
ページ数:236P
著者:岩崎正吾
定価:1,456円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「改めて考えてみると、信玄が強い理由がよくわからない。数ある信玄本は、たいてい信玄が強かったことを自明のことにして書いている。強かったから、信玄なんだということである。これはまことにもっとmな説で、確かに信玄が信玄たるゆえんは戦国大名として強かったからなのである。しかし、改めて信玄が強かったわけを考えたいと思うのは、わたしが根っからの山梨県人だからであろう。」
山梨県人である著者が、地元民であるからこそあえて触れてこなかった武田信玄について、「騎馬隊の強い信玄」像に真っ向から挑戦している。小説家ならではのテンポのよい文章は非常に読み易い。
[目次]
はじめに ふと思ったのである。武田信玄はなぜ強かったのだろうかと
一 信玄は体験であり環境なのである
二 信玄が強かったのは不思議だ
三 信玄だけが騎馬隊を持てたのはなぜだろうか
第一部 「甲斐の黒駒」を考える
一 日本に馬が渡って来た時
二 「甲斐の黒駒」現れる
三 「甲斐の勇者」とは何か
第二部 新羅三郎の謎を追う
一 甲斐の馬と信濃の馬
二 「新羅」三郎とは何者か
第三部 武田信玄は騎馬民族の末裔である
一 信玄はなぜ父を追放したか
二 信玄の南信濃攻略
三 「長篠の戦い」再考
四 武田信玄における騎馬民族的特質
第四部 強いやつが正義だった時代 - 戦国史に関するエッセイ
一 秀吉の「備中大返し」とは何か
二 山崎の合戦
三 北条綱成
四 「山梨的なるもの」をめぐって