発行:城郭石垣刻印研究所
発行日:1977年1月初版
ページ数:126P
著者:田端寶作
定価:不明
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
「近世城郭の石垣には、殆んどと申してよい程助役大名とその家臣と思われる家紋・相紋・裏紋等が多かれ少なかれ石垣に刻まれている。その主なものは天下普請である。江戸城・駿府城・名古屋城・篠山城・大坂城等から多数の刻印が検出されていることは周知の事実である。外様大名中最高の石高をもって任ずる金澤城主前田家及びその諸子団のものと思われる刻印がもっとも多く、種類も豊富であることが助役を命ぜられた駿府城修築・名古屋城修築・大坂城修築・名古屋城修築・江戸城修築石垣石材産調査の結果、静岡県伊豆半島東海岸各石丁場等にみられる。したがいまして、その刻印照合の目的を以って金澤城石垣刻印調査を金澤大学当局のご指導のもとに同好の士と共に、第1次調査を昭和50年に五日間、第2次調査を同年に七日間、短期間ほんの一部分を見て全體を知ることは困難でありますが、その傾向をつかめたことは確認をもってご報告できるものと信じます。」
金沢城の石垣刻印調査は、この書を手始めに調査が進むのであるが、従来の定説は刻印は家臣団の家紋だとか目印だといわれてきていたが、近年では、石工(穴太衆)の作業を進めるうえでの印だということで一致してきている。とはいえ、城内の刻印の数を短期間とはいえ調査した本書の価値はまだまだ高いものである。
[目次]
第一章 金澤城の地形・地質
第二章 金澤城の概要
第三章 金澤城の石垣
第四章 金澤城の石垣刻印
第五章 金澤城石垣刻印解明の端緒
第六章 金澤城石垣とその刻印の考察
金澤城略年表
城郭石垣刻印の目的および定義
参考文献