発行・編集:金沢市教育委員会
発行日:1973年6月初版
ページ数:64P
定価:非売品
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
「都市機能の近代化という目的から、新しい道路が開かれ、古い町並の改善が進められています。市民生活の内容が豊富になるにつれて、それに適合した生活文化の場が求められるのが当然の帰結といえましょう。金沢市は、明治以降の戦災や天災などの破壊を被らなかった、数少ない城下町ですが、私達が祖先からうけついだ、豊かな歴史のあしあとを、次代に継承してゆくことも、また我々に課せられた重大な責務であります。開発と保存の接点に置かれている文化財は数多く、これらを保護し、開発との調和を計ることが文化財行政の最も重要な課題となっております。とくに武家屋敷の土塀は、城下町『金沢』の姿を特徴づける代表的なものであり、その姿を失なうことは、まことに憂慮すべきで、保存対策の強化を迫られているものの一つであります。こうした侍土塀の系譜をひく残存土塀の現状を知ることは、今日の時点できわめて緊要のことであり、ここに市内にのこる土塀の現況について金沢経済大学講師田中喜男氏に調査を依頼した結果が、この172カ所におよぶ記録であります。」
内容は、侍屋敷の土塀に類するものを、「所在」「形態」「形状」「見取図」という項目で報告している。写真は小さくモノクロである。調査からすでに30年を過ぎているので、このすべてが現存しているとも思えないが、保存に向けて再調査の必要があろう。その基礎資料となることは間違いない。
[目次]
序
1.加賀藩侍屋敷土塀の系譜と現状 -金沢市内における-
2.金沢市内の民家土塀現状調査報告 -侍土塀の系譜をひく土塀-