出版社:龍鳳書房
発行日:2006年11月初版
ページ数:278P+マップ1枚
著者:岡澤由往
定価:1,600円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「この本は拙著『川中島古戦場ひとり旅-信玄軍配団扇の跡』をもとに、古文書解読講座や郷土史講座の講演資料などを補充加筆したものである。川中島の戦いについて史実を明らかにしようとしたものではない。母や祖母、そして『逆さっ穂』伝説の里に暮らしてきた人びとによって語り伝えられてきた川中島の戦いのなかに、ロマンと人間愛を求めようとしたものである。だれ人の手によって、書き写されたのであろうか、私の手元に手垢で汚れ、ささくれだった和綴の『甲越信戦録・八巻』の四分冊と二分冊の写本が二種類ある。何代も、幾人にも読み伝えられてきた写本である。この『甲越信戦録』は史書ではない。また単なる軍記物語でもない。軍記物語にこと寄せて、川中島の戦いを通して人間愛を教える教本である。いうなれば、今日の道徳教育の教科書とでもいうべき本である。寺子や里人たちが興味関心のある『川中島の戦い』を通して、『人間愛』・『報恩』の大切さを当時の知識人であった寺小屋師匠が教えたものであろう。史実性の希薄な『甲越信戦録』ではあるが、山本勘助の討死の地をはじめとして、古戦場の史跡の多くは、この『甲越信戦録』に依拠している。さらにつけ加えるならば、この地を訪れる方がたが、古戦場の地で暮らしてきた里人と同じ情感にたって、史跡探訪をしていただければと構成したガイドブックのつもりである。史跡については、伝承を尊重しながら、史料を補足して記述した。ガイドなしでも本書を片手に古戦場の自然風土を愛でながら、懐古の情にひたっていただければ幸いと思うものである。」
[目次]
第一部 風林火山・毘の旗なびく里
一章 川中島古戦場の歴史
二章 川中島の戦いその光と陰
三章 「甲越信戦録」にみる信越武将の生きざま
四章 古戦場の里人に思いをはせて(随想)
第二部 川中島古戦場史跡
一 城と館
二 渡しと瀬
三 峠
四 墳墓・その他
五 徒歩による史跡めぐりコース計画策定の参考