出版社:大阪都市協会
発行日:1983年9月初版
ページ数:222P
著者:渡辺武
定価:2,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「この本は大阪城についての体系だった概説書として書かれたものではない。写真集でもないし、論文集や随想集でもない。もちろん物語りでもない。名称のつけにくい妙な本であるが、これまで大阪城について出された本としては先例のないものであるし、他の域についても類品はないように見うけられる。もともと財団法人大阪都市協会の月刊誌『大阪人』に1981年4月から1983年3月まで二年間にわたって連載した『再見・大阪城』というグラフ中心の軽い読み物なのである。しかし読み物とはいえ、大阪城の歴史的な移り変わりについては基本的な史料や遺跡・遺物の紹介が必要なので、どうしても全国からそれらの写真を求め、いちいち解説を加えて少しでも正確な紹介を目指すことになりがちであった。イラストや図表の一つ一つにもオリジナルな工夫を施したものが少なくない。こうして、大阪城の歴史と現状についての歴史と現状についての資料写真と解説のミックス版が生まれた。しかし、雑誌連載中に記事の中の誤りや説明の不十分さについて熱心な読者からその都度有益な指摘をいただき、誌上を借りて訂正をさせて頂いた例もあり、後日、自ら気付いて訂正の機会を待っていた項目も少なくない。これらをすべて取り入れ、連載後明らかになった新しい情報をも最大限もりこんで、新しく整理編集しなおしたのが本書である。」
図説という銘だけあって、写真やイラストが非常に多く掲載されている。惜しいのは、巻頭のみカラーで内容はモノクロだということ。カラーで伝わる雰囲気というのもあるので残念である。が、それぞれの写真に解説がついていると思えば、とても有益な書籍である。現在は再増補版が販売中。
[目次]
第一章
黄金の城
秀吉の城下町
秀吉以前の大坂城
秀吉と大坂城の人びと
山里の茶室
第二章
関ヶ原前後
大坂冬の陣
大坂夏の陣
第三章
徳川再築の大坂城
居城のの石垣
第四章
豊臣の遺構を求めて
大阪城の謎と伝説
第五章
徳川二百五十年の大坂城
第六章
昭和六年の天守閣復興
四百年を迎える大阪城
年表