出版社:高志書院
発行日:2002年2月初版
ページ数:318P
編者:伊藤清郎、山口博之
定価:3,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書の課題と視点を明らかにしておこう。第1に、出羽という地域は、辺境にあたるとともに、北方性を兼ね備えた地域である。北日本そして北アジアから見る日本史を展開するに格好の場といえよう。さらに太平洋中心史観ともいうべき観点を批判できる素材が多く存在する地域でもある。第2に、日本海海運そして最上川・雄物川・米代川などの舟運、さらに羽州大道など陸路を手がかりにして見る歴史である。東アジア世界との関連も視野に入ってこよう。第1、第2を通じて、一国民の歴史から脱却をはかるステップになれば幸いと考える。第3に、第1、第2と深く関連するのであるが、発掘によって出土した遺物・遺構などモノや情報から探る歴史である。この3点を念頭に置きながら、『領主と城館』に焦点をすえて、以下順に論を展開していく。」
中世出羽国に関する論文集であり、内容は専門的である。
[目次]
序 -研究史と課題-
第1章 中世の出羽国
第一節 中世成立期の出羽国
第二節 奥羽合戦と鎌倉幕府
第三節 南北朝・室町時代の動乱と出羽
第四節 戦国・織豊時代の出羽
第2章 中世出羽の城館
第一節 出羽南部の城館
第二節 出羽北部の城館
第三節 中世出羽の海運と城館
第四節 城下絵図と発掘
第3章 発掘された中世の出羽
第一節 中世出羽国土器・陶磁器の様相
第二節 発掘された貨幣
第三節 発掘された中世の街道・古道
第四節 出羽府中と秋田城