出版社:角川学芸出版
発行日:2006年11月初版
ページ数:286P
著者:小和田哲男
定価:629円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
「風林火山」の旗の下、戦国時代最強の騎馬軍団として恐れられた武田軍団。その兵法をまとめた「甲陽軍鑑」は、軍略家・武田信玄の手の内を明かしている。「甲陽軍鑑」は、江戸初期の成立以来、甲州流兵法の基本文献として重要視され、講談・小説に語られる信玄のイメージを決定付けたほどよく読まれた。戦国史研究の第一人者が、その面白さを現代人向けに紹介し、軍略家・信玄の魅力を十二分に解き明かした入門書。
「甲陽軍鑑」というあまりに有名な軍記でありながら史実に乏しいという歴史的評価の低さについて、どういう経緯でそういう評価が定着していったのか、問題点は何だったのか、そして現在の「甲陽軍鑑」の価値を問いただしている。文庫であるが、内容は専門的、しかし興味あるものは先に読み進めたくなるテンポの良さがある。「甲陽軍鑑」そしてそれを基にした小説やドラマをどういうスタンスで楽しむべきかを示唆してくれる良書。
[目次]
第一章 「甲陽軍鑑」は史料としてどこまで使えるか
第二章 「甲陽軍鑑」の構成と内容
第三章 「甲陽軍鑑」末書の概要
第四章 史実とのくいちがいがあるのはなぜか
第五章 山本勘助の実像と「甲陽軍鑑」
第六章 「甲陽軍鑑」に描かれた信玄の合戦
第七章 「甲陽軍鑑」から信玄の名言を拾う
第八章 近世の兵学と「甲陽軍鑑」