出版社:法政大学出版部
発行日:1987年4月初版
ページ数:415P
著者:北垣聰一郎
定価:初版当時 2,900円+税 現在 3,300円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
これまでの日本城郭研究史のなかで、石垣普請を重点的にあつかった事例は比較的少なかった。本書でもたびたび紹介した粟田万喜三氏(古式穴太積み技術保持者)は、石材のひとつひとつには、それぞれの異なる顔があるものだとされる。粟田氏の説かれる石材の顔をもって各時期の流行、つまり石垣の変遷が辿れないだろうかと試みたものが本書の趣旨である。
平成19年度に発足した金沢城調査研究所の初代所長となった著者の石垣に関する論文集。
[目次]
第一章 城地の選定と石垣普請
一 はじめに
二 城郭石垣の変遷
三 城地の選定
四 「鍬初め」から「陽の縄」まで
五 金沢城の櫓台石垣
第二章 石積み技術書「後藤家文書」の成立
一 加賀の穴太氏に伝わる一枚の図
二 加賀後藤氏の秘伝書
三 中興の祖・後藤彦三郎
四 加藤清正への思慕
五 後藤氏の秘伝書と有沢氏の甲州流兵法
第三章 石垣構築理論の成立
一 石垣の勾配をめぐって
二 石垣の規と矩
三 清正流石垣
四 石図り、石割り、そして坪図り
五 高石垣の構築
第四章 近世城郭の石垣様式の変遷
一 石垣「法式」の完成から終焉まで
二 城郭石垣の変遷基準
三 各地の算木積みとその変遷
第五章 穴太積みの石垣
一 技術伝承者とその家伝
二 穴太積みと間知積み
三 穴太積みとその構築技法
第六章 石垣築成者「穴太」
一 近江の国穴太の里
二 穴太石工の誕生
三 穴太頭家の成立と動向
第七章 加賀の穴太とその系譜
一 加賀の穴太たち
二 橋台・川除普請と穴太
三 城郭普請と「穴太勤方帳」
四 「公辺御届絵図」と穴太