木舟城下いま昔 メディアが伝える城下物語

木舟城下いま昔 メディアが伝える城下物語
出版社:楓工房
発行日:1995年8月
ページ数:268P
著者:初瀬部乗侯
定価:3,000円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「前回の拙著『小さな町の戦国ロマン』においては、最後の城主・石黒左近の武将像に焦点をおいたが、木舟城を語るとき、その後の動向と繰り返される悲劇によって廃城となるまでを概説しなければ、戦国ロマンは終わらない。その意味から、第一編に悲劇の経緯をまとめた。第二編は、草稿のまま保存されている『蓑のしずく』の中から寺の草創に関するものを抜粋させていただいた。第三編は物語を交え、郷土に引き継がれてきたメディアをもとに、白山大地震前後の郷土文化を垣間見ることを試みた。三編を通して、本書を資料のつづりに終わらせるのではなく、息の通った郷土史という側面を持つものにしたいのが筆者の試みである。本書は『木舟城下いま昔』の第三部作であり、これをもって終結したい。」
著者は宝性寺の住職である。地元の発展の基礎である木舟城下町の歴史について、史料を調査し、遺物を探してまとめた集大成の一冊である。書名は「木舟城下いま昔」が抜けていて、一体何の本なのかわからないが、れっきとした木舟城を中心とする郷土史本である。図版はカラーで収録されていて、図録としての利用もできる。惜しいのは発行部数が少なかったのか、入手が非常に困難なのが残念である。
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[目次]
第一編 続・小さな町の戦国ロマン 木舟城の悲劇
 悲劇その一 木舟城主・石黒氏断絶
 悲劇その二 白山大地震と城主・秀次の死
 悲劇その三 今石動城主・前田氏断絶
第二編 「蓑のしずく」が伝える宝性寺草創期
 一 古町と宝性寺開基
 二 宝性寺塚碑文 補遺
第三編 メディアが伝える城下物語
 Ⅰ 左近のメディア
 Ⅱ 寺のメディア
 Ⅲ 文化のメディア
 Ⅳ 暮らしのメディア
図版