出版社:桂書房
発行日:2008年11月初版
ページ数:613P
著者:田中徳英
定価:8,500円+税5%
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「江戸時代初頭から幕末までの、加賀藩行政システムのひとつである作事方の成立、構成を検討し、大工の流派とその技術など、これまでの研究成果を基礎として作事体制全体の考察を行う。」
加賀藩内の建造物に関わった大工についてという専門的な内容ながら、このテーマの同書がなかっただけに非常に貴重な研究書であろう。金沢城のみならず、御殿、神社、寺院と著名な建造物の比較検討は一読に値する。少々高価ではあるが、それに値する十分なボリュームと内容です。
[目次]
序章 江戸幕府及び加賀藩の作事方と建築工匠
第一節 近世初頭の工匠たち
第二節 江戸幕府の作事方
第三節 加賀藩における作事と大工
第四節 本研究の目的と先学の研究
第五節 研究の方法と意義
第一章 作事方の職制とその成立
第一節 大工の活動と役割
第二節 江戸時代初めの作事形態
第三節 御大工とその名称の初見
第四節 作事の担当者
第五節 作事方職制の変遷
第六節 作事方に所属する各役所
第二章 作事方の技術系と建築生産活動
第一節 御大工頭
第二節 御大工・扶持方大工
第三節 棟梁大工と仕手大工
第四節 大工肝煎
第五節 御壁塗
第六節 藩の畳刺
第三章 金沢城の建築と内作事方の役割
第一節 宝暦の大火と建物の再建
第二節 宝暦大火後の造営担当者とその活動
第三節 二の丸御殿の用途による部屋の構成
第四節 儀式などにおける二の丸御殿の各部屋
第五節 門・櫓・長屋とその意匠
第四章 御殿空間の造営
第一節 金谷御殿
第二節 竹沢御殿の造営と兼六園の変遷
第三節 巽御殿
第四節 小松城の本丸御殿
第五節 江戸本郷邸
第五章 造営における外作事方
第一節 越中愛本橋
第二節 遠所での外作事方の役割
第三節 金沢の浅野川橋
第四節 越中新川郡の御蔵
第六章 寺院建築とその造営
第一節 妙成寺
第二節 那谷寺
第三節 瑞龍寺
第四節 宝円寺・天徳院の伽藍と客殿
第五節 大乗寺の伽藍と客殿
第六節 京都芳春院
第七章 神社建築とその造営
第一節 大野湊神社の本殿
第二節 尾崎神社
第三節 白山比咩神社本殿
第四節 気多神社本殿
第五節 石動山五社権現と天平寺
第六節 護国八幡宮社殿
第七節 立山信仰に関係する堂舎の造営
第八章 坂上・山上両家による建仁寺流の伝播
第一節 妙成寺建立の大工と建物の特徴
第二節 山上家文書の意義
第三節 坂上家の影響とその継承者
第四節 山上嘉広の作品と作風
第五節 山上家代々と建仁寺流の相伝
第九章 大工の流派と継承
第一節 大西政乗と建仁寺流の相伝
第二節 池上家より藤岡恭福への相伝
第三節 井上明矩の活躍
第四節 越中大窪大工への伝播
第五節 越前の志比大工と建仁寺流の伝承
第六節 四天王寺流の大工とその活躍
第十章 大工の技術と遺構
第一節 大工の垂木割りと技法
第二節 垂木の一枝寸法と建物各部の関係
第三節 建仁寺流の大工技術書の渦文
第四節 虹梁の発達と渦の巻き方、若葉
第五節 木鼻・実肘木・隅木などの渦文
第六節 建仁寺流系大工の遺構
第七節 四天王寺流系大工の遺構
終章
一、作事方の構成と造営担当者の役割
二、大工の流派とその技法
三、建築文化への武家の影響と工匠の役割
白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)
平成21年2月8日(日曜日) ミムら~・わか(Jr付き)・Tけべ・大介・私の…