編集・発行:大津市教育委員会
発行日:2008年3月3日
ページ数:61P+図版69P
定価:2,000円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「戦国時代の大津は、当時の武将が天下を統一させんがために駆けめぐった地であります。そのことから市内各所には、その軍事拠点となるような城郭が築かれるようになりました。坂本地区では、元亀2年(1571)に織田信長により比叡山を紅蓮の炎に包み込んだ山門(延暦寺)焼討ちが行われました。それを契機に坂本浜(下阪本地区)には、信長の命によって明智光秀が城郭を築きました。この坂本城は、中世から近世への過度期に築かれた平城として注目されていましたが、その所在や構造は不詳のままでした。今回、この推定値付近で偶然にも宅地造成工事が行われることになり、事前の発掘調査を実施しました。調査の結果、城主またはその一族のものと思われる屋敷やそれに伴う石組の井戸や溝、区画の石列などが検出され、本丸の一部ではないかと想定されました。」
本書は昭和54年度に発掘調査を実施し、平成19年度に整理作業を実施した成果物であり、関係する昭和55・57年度の調査成果の一部も報告されている。どうりで図版の写真が先日訪れた坂本城周辺とは異なっていると思いました。随分整理に時間がかかったものだと思いますが、それだけ大津市には多くの遺跡があるということでしょう。坂本城の貴重な調査結果や当時の写真を見ることができますので、興味ある方は売り切れる前に大津市歴史博物館で購入してください。
大津市歴史博物館 文化財・報告書ホームページ
[目次]
カラー図版
第1章 発掘調査の経過
1 調査の経過
2 坂本城跡周辺の発掘調査
第2章 位置と歴史地理的環境
第3章 検出遺構
1 基本層序
2 検出遺構
第4章 出土遺物
第5章 まとめ
付編 文献史料
図版