発行:新湊市教育委員会
発行日:1992年3月31日
ページ数:51P
著者:荒木菊男
定価:200円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「明治の大変革は、幕藩体制下のいろいろな生活様式、意識や形式を変え、新しい時代への生活様式やいろいろな考え方を生み出しました。神仏分離令も、本当は神道あるいは仏教という本質を究め、これを二つに分けていこうというのが本来の趣旨であったわけです。したがって、こういうことが正しく行われたならば、宗教史にとって大きな意義があったと思われます。しかし、一部の神道学者、一部の国学者によって急進的で排他的な、まだ整っていない活動が行われ、結果的に良いものにはなりませんでした。そういうものが神仏分離令です。時期的には150年も前のことであり、そして、富山藩のような峻烈な合寺事件が新湊ではなかっただけに、案外、忘却のかなたへ消し去られたような感じがします。しかし、わずかな手がかりをもとに神仏分離令や宗教史をたどるのも、宗教そのものを考えるうえで意義のあることではないでしょうか。」
加賀藩と富山藩の対応の違いにより、同じ富山にあって神仏分離令の影響はかなり異なったようです。本誌裏には「非売品」とありますが、のちに新湊市民文庫として販売されるようになったようです。本書は射水市新湊博物館で購入することができます。
射水市新湊博物館ホームページ
[目次]
一、神仏分離政策
1 神仏分離前の動向
2 神仏分離令
3 加賀藩の神仏分離
二、峻烈な富山藩の合寺事件
1 富山藩の合寺令
2 合寺の実態
三、神仏分離と新湊
1 菩薩号を廃した八幡神
2 護持替えした神体と仏像
3 神体(尊像)を秘した日枝神社
4 廃仏と修験的芸能
5 神仏分離の光明寺
6 立山の鐘をうけた専念寺