編集・発行:大阪府文化財調査研究センター
発行日:2006年3月31日
ページ数:(本文編)555P、(図版編)図版234P
定価:4,000円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
「今回の調査地は、東に大阪平野、西に大阪湾を望む上町台地の北端に位置しています。本書は平成15・16年度に実施した大阪府警察本部棟新築2期工事に伴う大坂城跡の発掘調査報告書です。平成10・11年度に調査を実施した西側のⅠ期工事に伴う調査地では、古代の谷から難波宮関連の木簡がまとまって出土しました。今回の調査でも、Ⅰ期工事の調査で検出した谷の続きが検出されることは確実であり、さらなる木簡の出土が期待されるところでありました。しかしながら、今回の調査では、意に反して『戊申年』木簡の出土していた谷は北側にそれていくことが判明しました。ところが、調査地の東側では新たな谷が埋没していることが明らかとなり、ここからは飛鳥時代の漆容器が大量に出土し、奈良時代の土層からは30点を超える絵馬が出土するという成果をあげました。さらに、この谷の南側では東西方向の柱穴列を検出し、難波宮の北限を検討する上においてきわめて重要な成果を提示することとなりました。また、その上層では調査地の中にぴったりとおさまるように豊臣時代の大坂城の堀が検出されました。この堀は二の丸大手口を逆コの字形に囲むものであり、素掘りではありましたが、堀底を堀障子にしていることなど、重要な調査所見がもたらされました。」
書評:
当時大規模な豊臣大坂城の堀の発掘ということで話題となった大阪府警察本部工事に伴う発掘調査の報告書です。第Ⅰ期工事は「大坂城址Ⅱ」として発刊されていますが、遺物中心で大坂城関連では金箔瓦などが掲載されています。本作では障子堀などの遺構部分も掲載されています。
[目次]
(本文編)
第1章 調査に至る経過と調査方法
第2章 位置と環境
第3章 調査の概要と層序
第4章 古墳時代以前の遺構と遺物
第5章 飛鳥・奈良時代の遺構と遺物
第6章 中世の遺構と遺物
第7章 豊臣前期の遺構と遺物
第8章 豊臣後期の遺構と遺物
第9章 江戸時代の遺構と遺物
第10章 近現代の遺構と遺物
第11章 分析
第12章 考察
第13章 総括
(図版編)