出版社:中村書店
発行日:1980年12月初版
ページ数:317P
編者:田中圭一
定価:2,000円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「越後や佐渡にはたくさんの城がある。高田の城はお堀で有名だし、新発田の城には江戸時代の建造物がのこっている。また、越後春日山の城は上杉氏の城としてあまねく知られている。そして、かなりの数の城が保存の対象として史跡に指定されもしている。ところで、私たちがここでえがこうとする古城の歴史は、実は、その城の縄張りをあきらかにしたり、城主の系譜をただしたり、また、その滅亡のようすを述べようとしているのではない。私たちは、この城に佐渡の中世の村人の歴史を語らせたいと考えているのである。越後もそうだが、佐渡でも、中世についての文献は、庄園の史料や特定の寺社の所領にかかわる史料、地頭・土豪たちのゆずり状、そんなものが断片的にのこっているだけである。」
佐渡における中世の歴史を紐解きながら城を紹介するというもの。単なる城の紹介本とは異なるので、興味深く読み進めることができます。残念ながら絶版になっているので非常に入手が難しくなっていますが、おすすめです。
[目次]
まえがき
Ⅰ 佐渡の城
郷代官たちの城
居館と山城
高台に移る城
山城と平城
高館形式の城
水堀をめぐらした城
平城の初原的形態
一国一城制
Ⅱ 守護代本間氏の来国
相模の豪族
本間一族
海老名氏
佐渡の守護人
守護代本間氏
本間氏の佐渡土着
本間氏定着の場所
Ⅲ 木浦守護代職
木浦郷と代官所
小木の城
宿根木の城
宿根木浦合戦
羽茂本間の小木半島支配
Ⅳ 久知本間氏と久知給分帳
久知本間氏
久知の古城
馬坂の城
さいごの久知殿
家臣の素姓
久知給分帳
羽丹生雅楽
羽丹生雅楽の子孫
野中の家号
三分の一の村
片野尾金子家
Ⅴ 久知殿の家臣
村の代表者
三国太郎左衛門家
三国家の由緒
川崎土手
檜田家文書
十王堂
八幡・水尾の祭
Ⅵ 村殿と殿原たち
矢馳の村殿
矢馳の城
矢馳殿本間讃岐守季暁
本間茂右衛門家
牛込殿
長七城
殿原たち
山の代官・海の代官
Ⅶ 地頭と寺
地頭の菩提寺
村殿たちの寺
古城の遺物
Ⅷ 佐渡と上杉氏
佐渡に一揆蜂起
天正五年の一揆
長尾氏と一揆との戦い
謙信の越中での戦い
謙信の動向
佐渡一揆の性格
Ⅸ 上杉景勝の佐渡攻め
羽茂対河原田
天正の乱
Ⅹ 上杉景勝の佐渡支配
景勝の統治
寺社領の支配
在番衆
古藤清雲軒
Ⅺ 相川陣屋と港役所
大久保長安の陣屋
城下町
港代官の役所
原土佐の城
横地所在衛門の城
服部伊豆の城