出版社:法藏館
発行日:2008年2月初版
ページ数:231P
著者:川端泰幸
定価:2,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「統一権力は、様々な形態の一揆との熾烈な戦いを経て、近世社会を形づくった。幅広い階層をひとつの方向へと向かわせ、時代の潮流となった運動が形成された要因とその本質を、公と宗教という2つの視座から読み解く。」
本書は著者の学位請求論文を基に大幅な加筆を加えたものです。地域社会の共同体という側面から一揆の性格を読み解く内容で、専門的ですが真宗や一向一揆に興味ある方はぜひ。
[目次]
序章 本書の課題と構成
第一節 本書の視座
第二節 一揆
第三節 地域社会
第四節 公と宗教
第一章 村落寺社と百姓・領主 -地域社会の公と宗教-
第一節 村落寺社の性格
第二節 密厳院領相賀荘柏原村 -西光寺・証誠権現社と地域社会
第三節 村落寺社と公
第二章 紀ノ川河口部における神事と地域社会秩序 -日前国懸神宮年中行事を素材に-
第一節 一円神領の形成 -開発と相博
第二節 南北朝内乱と神事の体系化 -「応永神事記」の世界
第三節 寺社のネットワークと地域秩序
おわりに -惣国一揆とその終焉
第三章 紀州惣国の形成と展開
第一節 問題の所在
第二節 紀州惣国関連史料の再検討
第三節 「惣国」成立の前提 -下からの地域形成現象
第四章 戦国期紀州門徒団における年寄衆の性格
第一節 本願寺教団における長と年寄
第二節 天文年間黒江御坊相論における長の性格
第三節 戦国期雑賀門徒にみる年寄衆の性格
第四節 大坂退去をめぐる年寄衆 -老若衆議
補論 「石山戦争」概念について
第五章 石山戦争と海の地域社会
第一節 天正年間の本願寺と一揆体制
第二節 海の地域社会と石山戦争
第三節 大坂退去と統一権力
第六章 天正十三年紀州仕置と秀吉の天下構想
第一節 秀吉の動向と紀州仕置
第二節 秀吉伝記の形成とその性格
第三節 「天正記」の構成と特徴
第四節 著者大村由己と、その思想的背景
結章