編集・発行:南郷村城館跡調査団
発行日:1987年3月31日
ページ数:82P+図版16P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「南郷村は中世において、伊南郷の河原田氏、伊北郷の山内氏の支配下におかれ、それぞれの領土が接する重要な位置にありました。戦国時代には幾多の戦闘も行なわれ、河原田氏と田島の長沼氏が合戦したと伝えられる『答崎の古戦場跡』や、その戦いで、討死した長沼方の兵士を埋葬した『光明院塚』が、今も南郷の地に残されています。村では、昭和五十五年度から村史編さん事業に着手し、祖先の歴史の解明にあたっております。霧の彼方の中世の時代を語ってくれる村内の古城址につき、村史の関連から、これまで三次にわたり中世城館址の遺構確認測量調査及び踏査略測調査を実施してまいりました。天正十七年の伊達政宗軍侵攻の際、城中の者が皆殺しにされた悲劇の城『和泉田城』の調査をはじめ、今まで全くその存在を知られていなかった『片貝城』が発見されるなど、時間的にも予算的にも制約のあるなかで、望外の大きな成果をあげることができました。」
福島県の伊南地方の城館調査報告書で、各城館について縄張り図と構造・歴史について解説がついています。
[目次]
第一篇 城館址調査報告
一、伊南川流域の城館址
1.城館の立地と分布
2.山城の連絡ルート=支城制=
3.要害山と麓の館
二、城館址の構造
1.駒寄城
2.駒寄要害山城
3.東館・西館と戦国期の村落
4.久川城
5.宮沢塁
6.木伏館
7.木伏愛宕山城
8.大橋館
9.山口館
10.宮床愛宕山城
11.宮床館
12.鴇巣城
13.片貝館・片貝城・船窪山城
14.下山城・下山館
15.和泉田城
三、片貝城測量調査報告
1.遺構発見と調査経緯
2.山城の構造
3.館の構造
4.舟窪山城
5.片貝城の成立年代について
まとめにかえて -片貝城の今後への提言-
第二篇 中世の伊南と河原田氏の歴史
はじめに
一、伊南の成立
1.長江荘と中世的郡郷の成立
2.伊南の成立
二、河原田氏の成立
1.河原田氏の出自と系譜
2.河原田氏の成立
三、伊南河原田氏の成立と展開
1.鎌倉期
2.南北朝期
3.室町期
四、戦国期の河原田氏
1.戦国期蘆名氏と河原田氏
2.河原田氏の領国経営と村落
五、豊臣政権と河原田氏
1.豊臣惣無事令と会津
2.伊達政宗の会津領有と河原田氏
3.河原田氏の滅亡
六、近世初頭の伊南
1.蒲生氏と伊南
2.上杉氏と伊南
3.再蒲生氏と伊南