編集・発行:城郭談話会
発行日:2004年12月31日
ページ数:342P
定価:4,000円(税込)
オススメ度:★★★★★
書評:
「関西在住の城郭研究者が、自由に意見交換できる場として、城郭談話会を設立して今年20年を迎える。これを記念して新たに編纂したのが、この『図説近畿中世城郭事典』である。敗戦後の歴史学は、城郭研究を忌諱し、沈黙し続けてきた。しかし、1970年代の列島改造は山城遺構をも飲み、中世城郭遺跡は発掘調査の対象となり、数多くの成果を挙げることとなった。この結果、中世城郭遺跡は地域の中世史研究によって最も重要な遺跡として注目され、縄張り研究も認知されることとなった。その縄張り研究の成果が、『図説中世城郭事典』全三巻(1987:新人物往来社)の刊行であった。当時の中世城郭研究は、縄張り図の作成そのものであった。調査に行けば、毎回未知の城郭遺跡と遭遇した。『図説中世城郭事典』で、全国的に網羅された中世城郭の縄張り図は、こうした発見の時代を象徴するものであった。この本に誘われて城跡を訪れた人も多いことだろう。そして、1990年代は縄張りから城郭構造を分析する研究が進んだ年代であったといっても過言ではないだろう。そうした研究の飛躍的発展の成果を、今回刊行することとなったのである。」
近畿地方の200箇所の城跡について、基本見開きで城跡の構造と縄張図を掲載している。縄張り研究には非常に役立ち、前述の「図説中世城館事典」とともに揃えたい一冊であるが、入手経路が分からなかった。本書は長年捜し求めていたが、今回ようやく入手することができた。
[目次]
滋賀県
京都府
奈良県
大阪府
兵庫県
和歌山県