歴史景観の復原 地籍図利用の歴史地理

歴史景観の復原 地籍図利用の歴史地理
出版社:古今書院
発行日:1992年10月初版
ページ数:257P
著者:桑原公徳
定価:3,800円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書で課題とする景観は、景観論争や歴史的景観の保全問題などの今日的課題に直接かかわるものではない。本書が対象とするのは、古代~近代の各歴史時代の景観である。しかし、過去の景観の研究には、現在の景観が重要な資料となるので、両者は無関係ではない。近現代につくられた記録・写真・地図類などのうち、古代~近代の各種の景観復元に最も有効な資料となるのは地籍図といってよいであろう。とくに、明治前期に作製された地籍図は、精度の低いものもあるが、それでも過去の景観をとどめている場合が多い。本書では、これらの古い地籍図を利用し、古代から近代にかけての各種の景観を検討している。」
地籍図から当時の景観を復元する作業に関する論文を集めたもの。観点はとても面白く、イラスト入りで分かりやすく説明されているのだが、もとになった地籍図の写真が見にくい。もともと大きなものであったり、彩色されているものをモノクロで掲載しているので限界があるのだろうが残念である。桑原氏は地籍図の利用に関する著書に多く参加されている。しかし、そのほとんどは現在では図書館で見るのがやっという状態であり、刻々と開発が進む現代でこそ、早急にこういう研究を進めなければならないと思うのだが・・・。
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[目次]
序章 景観の復原と地籍図
第一章 都城 -平城京の場合
第二章 国府 -出雲国府と意宇川の変遷
第三章 古代駅路 -山陽道播磨国の場合
第四章 条里プラン -仙台平野の場合
第五章 戦国末期の城下市町 -土佐国の二つの事例
第六章 豪族屋敷村 -陸奥国と陸中国の場合
第七章 豪族屋敷と中世干拓 -矢部川下流の場合
第八章 城下町 -人吉の歴史的町並み
第九章 宿場町 -東海道舞坂宿の場合
第一〇章 村受干拓新田 -肥前国佐賀郡川副郷の籠と搦を事例に
第一一章 渡津集落 -琵琶湖湖岸矢橋の場合
第一二章 江戸期の土石流災害 -養老山地における対応を中心に
第一三章 明治期の宿場町 -暗越奈良街道松原宿の場合