編集・発行:石川県埋蔵文化財センター
発行日:1997年3月30日
ページ数:260P+図版41P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「金沢城石川門と兼六園をつなぐコンクリート製橋梁を『石川橋』という。明治43年に起工され、明治44年に完成している。当該箇所は、それまでは百間堀と白鳥堀を区分けする土手であった。つまり、百間堀と白鳥堀の水を抜いて、土手に石川橋というトンネルを作って道をつけたのである。この道は現在県道寺町今町線といい、通称『百間堀通り』と呼ばれ、兼六園下交差点から広坂交差点へ抜ける主要な幹線道路として激しい交通量がある。さらに、人間もまた、観光客をはじめとして徒歩で広坂に通勤する人々、あるいはそこに通って通学する生徒の主要な交通路でもあるが、歩道がないという構造的欠陥がある。」
金沢城石川門前の発掘調査報告書の1分冊目である。本書では主に土橋そのものと百間堀側の調査結果を掲載している。調査では、金沢御坊時代の土橋、藩政期の土橋、辰巳用水の木管などが発掘された。
本書は残念ながら一般販売はされておらず入手できなかったので、図書館で借りて一部コピーを所持している。
<2011/1/22追記>
昨年古書として入手できた。本書は写真が多いので特に重宝する。
[目次]
第一章 調査にいたる経緯と経過
第1節 調査の契機と経過
第2節 調査日誌抄録
第二章 試堀調査と事前調査
第1節 試堀調査と立会調査の概要
第2節 百間堀通りの試堀調査
第3節 仮橋の調査
第四節 平成4年度の発掘調査
第5節 水道管切り回し調査
第三章 金沢御堂以前の考古学的遺物
第四節 近代以降の遺構と遺物
第1節 石川橋建設の落ち込み遺構
第2節 導水・排水遺構
第3節 近代遺構等の出土遺構
第五章 沈床園調査区
第1節 基本土層と調査の概要
第2節 堀の堆積層と出土遺物
第六章 石川門調査区
第1節 基本土層と調査の概要
第2節 盛土1
第3節 盛土2
第四節 盛土3
第5節 盛土4
第6節 盛土4に伴う土橋の構築
第7節 盛土5
第8節 盛土6
第七章 石川門調査区出土木樋と辰巳用水石管
第1節 木樋
第2節 辰巳用水石管
第八章 兼六園調査区
第1節 盛土の構成
第2節 辰巳用水石管と木樋遺構
第九章 石川門前土橋の石垣
第1節 石垣調査の方法
第2節 百間堀の石垣
第3節 白鳥堀近世石垣
第四節 近代の石垣
第10章 まとめ
第1節 土橋の復元
第2節 寛永9年敷設の辰巳用紙をめぐって
付章 出土遺物観察表