駿府城跡Ⅰ(遺構編) 静岡市埋蔵文化財調査報告36

駿府城跡Ⅰ(遺構編) 静岡市埋蔵文化財調査報告36
編集・発行:静岡市教育委員会
発行日:1996年3月25日初版
ページ数:46P+図版38P+付図16枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「本書は、昭和57年児童館建設に伴う確認調査、巽櫓復元に伴う埋蔵文化財発掘調査として昭和61年に実施したものと、駿府公園再整備(第1工区)に伴う埋蔵文化財発掘調査として平成2年から平成7年に実施した駿府城跡の発掘調査報告書である。」

書評:
同時期の調査報告書は本書である遺構編と別冊遺物編に分冊されています。本書では、堀や石垣、礎石といった遺構の状況が掲載されています。図版の一部はカラーであり、対象地区の実測図や平面図、立面図が多くの付図として添付されている。
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長篠城址 第1次~第4次試堀調査報告書

長篠城址 第1次~第4次試堀調査報告書
編集・発行:凰来町教育委員会
発行日:2004年1月初版
ページ数:281P+付図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「天正3年(1575年)5月8日、武田軍が長篠城を包囲して攻撃を開始しました。これが小学校の教科書にも掲載されている『長篠の戦い』の幕開けであります。この戦いは、長篠城攻めの前半戦と3000丁の鉄砲が使われた設楽が原での戦いの後半戦に分けることができます。『前半戦の城兵500で、1万5000の武田軍を1週間以上にわたり防ぎ得たのはなぜか。』が、来訪者の多くの方が抱く疑問であります。この課題を解決するためにも長篠城址を試堀調査して、1575年当時の状況を明らかにすると共に、後世に残していくための整備をしていくことが大切であると考えられました。ここに、第4次までの試堀調査の結果を報告書としてまとめ上げることができました。今後、虎口の確認など残された問題を解決し、整備計画の作成へと進展することを強く願っております。」

書評:
長篠城址の試堀調査の第1次から第4次までの合本。なるべく体裁を同じにしようとはしているが、3次と4次は目次が抜けている。折角なので、あとがきで4次までの総まとめをしてくれると良かったのだが、それともまだ続くからあえて総まとめを入れなかったのか。
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鳥羽城跡 愛知県埋蔵文化財センター調査報告書第69集

鳥羽城跡 愛知県埋蔵文化財センター調査報告書第69集
編集・発行:愛知県埋蔵文化財センター
発行日:1996年8月30日初版
ページ数:73P+図版15P+付図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「財団法人愛知県埋蔵文化財センターは、平成6年度に県道西尾幡豆線の建設に伴う事前調査として、愛知県教育委員会の委託を受け、幡豆郡幡豆町大字鳥羽字川坂にあります鳥羽城跡の発掘調査を実施し、この度ようやくその報告書をまとめることができました。鳥羽城跡では、土塁や曲輪・虎口・搦手を伴う山城のほぼ全容が調査され、本県では数少ない事例として貴重な資料になるものと思われます。それ以外にも中世の焼成土坑や近世の集落や墓群が見つかっており、墨書土器なども出土しています。」

書評:
鳥羽城跡とはまぎらわしい名前である。最も有名な鳥羽城は三重県鳥羽市のそれであろうが、なぜ愛知県埋蔵文化財センター?とは思っていたが、内容がよくわからずに購入した。結局場所も対象もまったく違うものであり、これは東三河の幡豆小笠原氏の見張り用砦ではないかと結論付けられている。
驚いたのは図版の中に、CG復元で当時の様子が掲載されていたこと。決して出来がよいとは思わないが、こういう手法を使用して報告書がわかりやすくなるのは歓迎である。
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若狭小浜城跡 -小浜城跡発掘調査報告書-

若狭小浜城跡 -小浜城跡発掘調査報告書-
発行:福井県立若狭歴史民俗資料館
発行日:1984年3月初版
ページ数:107P+図版108P+93P
編集:小浜城跡発掘調査団
定価:不明
オススメ度:★★★★☆
書評:
「本書は福井県小浜市城内一・二丁目に所在する若狭小浜城跡の発掘調査報告書である。本書では発掘調査結果と合せて小浜城築城に関する文献も出来得る限り収録し、史料からみた築城の変遷及び城下町・小浜湊についても若干ふれた。調査期間は昭和54年から57年までの4ケ年もおよび、第1次~第4次にわけておこなわれた。しかし、この間に、小浜市々道拡巾工事による大手門付近の調査、裁判所改築に伴う三の丸南側の調査もあって、実質は第6次にわたっての調査となった。」
現在、天守閣復元整備計画の進む小浜城の発掘調査の総合報告書となる。歴史・遺物・古文献史料と一冊で小浜城を俯瞰できる。

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長浜市指定史跡 長浜城跡発掘調査報告書

長浜市指定史跡 長浜城跡発掘調査報告書
編集・発行:長浜市教育委員会
発行日:1971年4月30日初版
ページ数:13P+図版16P
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「長浜市指定史跡『長浜城跡』を、本市の都市計画公園整備のために、一部変更したい旨の協議を教育委員会へ求めて来た。早速その計画を調査したところ、長浜城の石垣があったところと推定される湖水の一部が、埋め立てられて、土地を造成することになっていることが判明した。そこで、教育委員会は、このことを本市の文化財審議院会にはかることとした。審議の結果、土地造成計画変更の至難なことを認め、埋め立工事に先だって、該当地の発掘調査を行なって、報告書としてこれを保存し、現場は埋めもどしをして、その直上に石垣の位置を表示する標識を設けることに決定した。発掘調査は、昭和44年11月から開始されたが、時たまたま冬期に向っての作業であったために、湖北地方特有の吹雪と、湖岸の発掘であったために、浸透水になやまされ、調査に当っていただいた方々の苦労も大きかった。しかし調査は順調に進んで、最初の推測どおり、長浜城の石垣の石群をはじめ、一石五輪塔、屋根瓦の破片等多数の遺物が発見された。この報告書は、発掘調査の結果をまとめたものではあるが、先人の足跡をしのぶ資料をも併せ集録しているので、本書が、長浜城の規模を、推察するための参考ばかりではなく当地の歴史の変遷をうかがう上でも何等かの参考にしていただければ幸である。」

長浜城跡の戦後の発掘調査としては最初の報告書が本書である。発掘調査日誌など最近の発掘調査報告書とは随分違う構成のところがあるが、廃城後の使用状況や届出までの経緯など興味深い報告が並ぶ。
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真田町の遺跡 -遺跡詳細分布調査報告書- 長野県小県郡真田町埋蔵文化財発掘調査報告書第12集

真田町の遺跡 -遺跡詳細分布調査報告書- 長野県小県郡真田町埋蔵文化財発掘調査報告書第12集
編集・発行:真田町教育委員会
発行日:2000年3月24日初版
ページ数:103P+図版6P+付図6枚
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「真田町では平成9年度から11年度までの3年間、国庫および県費補助金を受け、町内遺跡分布調査を実施し、またこの事業に関連して、町内に残る山城の縄張図を作成するための調査を併せて実施しました。本報告書は、この調査の成果をまとめたものです。」
真田氏の故郷である真田町のいわゆる遺跡地図ですが、真田氏に関連する山城が多く存在し、本報告書でもまとめて掲載され、さらに附図として添付されている。真田町の山城を踏査するときの参考になるであろう。

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史跡 高遠城跡大手門石垣 埋蔵文化財緊急発掘調査報告書

史跡 高遠城跡大手門石垣 埋蔵文化財緊急発掘調査報告書
編集・発行:高遠町教育委員会
発行日:2002年3月初版
ページ数:巻頭図版6P+43P
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「これは平成13年度に実施した史跡高遠城跡大手石垣修理工事に伴い、史跡高遠城跡の現状変更許可の条件である埋蔵文化財発掘調査を実施した報告書であります。また、石垣修理工事によって埋蔵文化財が消滅する箇所もありますので、記録保存を図る目的で調査結果を集録したものです。」

書評:
一部が崩落したため緊急で調査と復旧が行われたようであるが、遺物が出土しなかったため時代特定には至らず、また時間的制約で大手のどの部位であるかも特定されなかったようだ。最近の調査報告書にはカラー写真が増えてきたが、石垣の場合色の具合がわかるカラーが、やはり分かりやすくて良い。
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塩田城 -その歴史と発掘-

塩田城 -その歴史と発掘-
編集・発行:長野県文化財保護協会
発行日:1983年3月20日初版
ページ数:84P+図版34P
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「本文は文献よりみた塩田城の歴史と発掘調査の所見からみた塩田城跡とに大きく二項目にわけ、この両面から本城館跡の全容をとらえようとしたものである。前者については早くから多くの先学によって研究されており、かなりの部分が明らかになっているが、後者についてはようやく緒についたところで、今後の調査研究にまつところが大きいといえる。本書の第二編は、昭和五〇年から五二年にかけて実施した三回の塩田城跡発掘調査記録を上田市教育委員会の了解を得て、多少の修正をしながらまとめたものである。この調査は、そのまとめでも述べているとおり広大な城館跡のほんの一部の調査にすぎないので、遺跡・遺構の全体を把握するに至らず、したがって結論的なことはひかえて今後の課題としたのである。」

書評:
塩田城の三年間の発掘調査を受けて、発掘調査の総まとめに塩田城の歴史を追加して一冊としている。これ以降発掘調査はされていないようなので、現状における調査のすべてと言えるであろう。
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金沢の古城跡 金沢市文化財紀要56

金沢の古城跡 金沢市文化財紀要56
編集・発行:金沢市教育委員会
発行日:1985年3月初版
ページ数:101P+附図1枚
定価:非売品
オススメ度:★★★★☆
書評:
「城郭は、庶民の生活など当時の歴史を知る上で何よりの貴重な財産でありますが、県内における城郭の調査研究は、高尾城跡の土取り問題に端を発し、昭和45年頃から急速に進んだと言えます。昭和46年には、中世、近世における城郭、館、寺社跡が調査され、石川県史蹟カードの作成を見ました。当時の調査は、文献を基本とした所在地の確認を主とするもので、遺構の現況を明らかにした図面等の作成されたものはごく少ないものでした。それでも、名称のあがったものは金沢市内だけで160近くになりました。昭和53年には、急速に進む宅地開発、土砂採取等に対処するため松根城と朝日山城を緊急調査し、昭和54年には鷹巣城の測量調査を終えました。
今回の城郭調査は、昭和58年から着手したもので、昭和46年の調査を基礎データにしながら、城郭と城の機能を有していた館、寺社の遺構の状況、範囲、形状などを図面化することを主な作業としました。本書の作成にあたっては、現況を忠実に表現することに努めましたが、遺構の明らかでない木越三光と若松本泉寺については、小字、地名図と耕地整理前の面影を知る手がかりとなる図面などを載せることになりました。」
附図が古城の位置が分かって使いやすい。木越光徳寺と若松本泉寺については地名図が非常に参考になる。松根城、鷹巣城、高尾城については別途金沢市教育委員会から発掘調査報告書が出ているのでそちらが詳しい。金沢城は簡潔に触れてあるのみなので、後の金沢城研究調査室(現在、金沢城調査研究所)の報告書などから情報収集する必要があります。本書は購入ままならず、一部をコピーで入手した。
<2010年7月1日>
ようやく古書として入手することができた。
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金沢市松根城址緊急調査報告書 金沢市文化財紀要18

金沢市松根城址緊急調査報告書 金沢市文化財紀要18
編集・発行:金沢市教育委員会、金沢市埋蔵文化財調査委員会
発行日:1979年3月初版
ページ数:58P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、金沢市松根町と富山県小矢部市内山町の県境に所在する松根城址、及び、金沢市加賀朝日町に所在する朝日山城址の緊急調査報告書である。」
金沢市による松根城と朝日山城の調査報告書。関連する古絵図や39の文献抜粋が掲載されている。購入ままならず、一部をコピーにて入手した。
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<2011/1/22追記>
ようやく入手することができた。今あらためて見ると、緊急調査後に、松根城は伐採された木々が成長し最近少し再伐採し、朝日山城は民間による遺跡破壊という状況の変化があった両城の貴重な資料だと思いました。松根城は市史跡として整備されましたが、朝日山城は民有地のままなので、写真が2点のみなのは残念ですが、本当は当時の撮影写真はもっとあるのでしょうね。

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