出版社:人間社
発行日:2007年6月初版
ページ数:327P
著者:小嶋太門
定価:2,400円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「大坂の陣において豊臣氏の滅亡に殉じた戦国の勇将、後藤又兵衛基次。信憑性の高い逸話や挿話から彼の人物像に迫る『後藤又兵衛基次逸話集』など、又兵衛の事蹟について著者の長年の研究成果をまとめた一冊。」
大坂の陣の大坂方として有名な勇将後藤又兵衛の生涯と実像についての研究成果をまとめている。著者は学者ではないが、完成を待つのと余命が尽きるのを比べて未完成のまま世に出したようである。とはいえ、後藤又兵衛研究はここから出発しても問題ない出来ではなかろうか。あまり書籍が多い武士でもないため貴重である。
カテゴリー: 日本中世史(戦国期)
知識ゼロからの戦国武将入門
人物叢書新装版 浅井氏三代
「戦国合戦」意外・驚きエピソード 信長・秀吉・家康と、武将たちのちょっと珍しい話
戦国武将を育てた禅僧たち 新潮選書
出版社:新潮社
発行日:2007年12月初版
ページ数:221P
著者:小和田哲男
定価:1,100円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「信長の独創力、家康の不動心、信玄のカリスマ性…若き武将に行動哲学と深い教養を授け、闊達で逞しい人生観を確立させた臨済宗の僧侶たち。自らも軍師、謀報役、易者、医役を務め、武将のブレーンとして、政治顧問や公家との交流から合戦の勝敗まで左右した禅僧たちの実像から、名将と禅宗との秘史に迫る斬新な論考!」
今川氏や浅井氏の研究で著名な小和田氏の最新作である。今回のテーマは「戦国武将の傍にいた禅僧」、あまりこういう視点の本を見たことがない。確かに、念仏宗や密教など他に僧は多くいたはずなのに、著名な僧は禅宗が多い。興味ある方にはおすすめです。
下剋上 下野落城悲話
佐々木六角氏の系譜 -系譜学の試み
中世の寺社勢力と境内都市
新装版 佐竹氏水戸城攻略の跡を行く
系譜伝承論 佐々木六角氏系図の研究
出版社:思文閣出版
発行日:2007年11月初版
ページ数:328P
著者:佐々木哲
定価:3,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「これまでの実証歴史学では資料から排除されていた系譜伝承を資料にして、系譜伝承とともに排除されていた史実を掘り出す試み。系譜伝承をもとに、戦国期の近江守護六角義実は実在したという見解を提示し、新史実を発見する。」
著者が佐々木六角氏を祖先にもつことから、通説で実在を否定されている六角義実の実在を主張する田中政三氏に影響を受け持論を展開する。2作目となる今回は4名に絞ってじっくり展開され、歴史学者集団に対抗するために文章は少々硬く読みづらい面もあるが、歴史位置づけとしては第二級とされる系譜伝承を元に架空とされる人物の実在を裏付けるという手法は興味がつきない。また、六角氏は織田氏に敗れた世間でいう敗者であったので、正史から抹殺されている可能性は否定できないところであるから、歴史学の研究手法としても面白い試みである。