出版社:吉備人選書
発行日:2002年9月初版
ページ数:186P
著者:村上幸雄、葛原克人
定価:1,200円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「鬼ノ城」がもつ最大の魅力は、要害堅固な古城山城としての卓越した内容である。古城山城は、西日本以西におよそ30城を数えるが、鬼ノ城ほど遺構が原状に近い状態で残り、規模や構造がわかるものも珍しい。どれ一つをとっても、まさにトップクラスのものといっていい。約100点の貴重なカラー写真で案内する鬼ノ城散策に必携の一冊。
地元ガイドが書いた案内書。鬼ノ城へ登る前に目を通しておくと、より楽しめます。駐車場よりぐるっとまわるだけでも2時間はかかります。足場が危険な場所もあるので、散策はぜひ晴れた日に!
カテゴリー: 山陰・山陽
新版・岡山の山城を歩く
出版社:吉備人出版
発行日:2004年9月初版
ページ数:321P
著者:森本基嗣
定価:1,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
収録城郭:岡山県の127城
書評:
著者が所属する日本城郭文化学会では、お城というコンテンツを単に考古学や歴史学あるいは軍事学の研究対象にとどまらず、広く一般の生活の中で身近に感じる「文化」として捉え直す活動を提案している。その一つに、キャッスリングという新コンセプトの提唱があり、中世山城へのアプローチを従来の遺構調査等の学術目的にとどめることなく、もっと開放的に「お城巡り」自体をトレッキングの目的として、戦国ロマンに浸りながら森林浴や自然観察なども堪能しようという提案である。本書は単なる山城ガイドブックではなく、山城を愛してやまない一人の男性の汗と涙の奮闘記録である。読者は、あたかも一城ごとに著者と一緒に本丸に辿り着くような爽快感を共有できる。
著者のコンセプトや紙面構成は好感がもてるが、ページ数に比して多くの城を収録しているため、一つ一つの解説が短い城も多い。もう少しページ数を充実させると、より著者とともに爽快感を共有できると思うのだが。