出版社:岩田書院
発行日:2003年5月初版
ページ数:248P
著者:梅沢太久男
定価:11,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
収録城郭:埼玉県の116城
書評:
埼玉県のほぼ全域を包括する地域を北武蔵と総称する。この地域は中世前半には鎌倉幕府を根底から支えた武蔵武士を輩出した地域である。北武蔵の城館跡については、これまでに、1967年「日本城郭全集」4、1968年「埼玉の館城跡」、1983年「埼玉の古城址」、1989年「秩父の古城址」が相次いで出版され、県内の城館跡の具体的内容が明らかにされた。こうした先駆的研究成果を受け入れながら、城郭の記録等を整理し、改めて考古学的手法を駆使した実測図に近い城郭の縄張りが十分に理解できる概略図を作成することにした。
本書は、北武蔵の南北朝期以降の中世後期を合戦史的観点から整理し、時期区分を行うと共に、その段階に出現する城郭を、多くの史料や城郭実測図・概略図等の比較によって、その段階の城郭がいかなるものであったかという概念を抽出することに努めている。
カテゴリー: 関東
図説房総の城郭
房総の古城址めぐり 上巻/安房・上総
房総の古城址めぐり 下巻/下総国
関東百城 改訂増補版
八王子城 みる・きく・あるく 改訂新版
出版社:揺籃社
発行日:1989年12月初版、2001年12月改訂新版
ページ数:79P
著者:峰岸純夫、椚國男、近藤創
定価:700円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「かつて、城は城兵が殺されたり降参したりすることで落城はしても、城跡は歴史の語り部として残された。しかし今日の破壊は、城が築かれた城もろとも消し去ってしまう。まさに完全な『落城』である。幸いにも、八王子城は国指定史跡として保存され、多くの見学者の利用に供されており、関東の城跡のなかでも私の好きな城の一つであり、しばしば登っている。
本書は、八王子城を愛するさまざまな分野の人々による、これから八王子城へ登ろうとする人々へのガイドブックである。私たちは自ら楽しみながらこのガイドブックを作ることによって、八王子城落城四百年記念に参加した。
その後、十二年余の歳月が過ぎた。その間に八王子城・高尾山の地下を貫く圏央道のトンネル開穿工事が進み、再び八王子城の危機が迫っている。この時に当り、本書のを装い改めて新版をつくることとなった。」
とあるように、八王子城に関する論文と散策のためのガイドブックです。初版から数本記事がプラスされています。散策に関する5つのコースは参考になります。
葛西城とその周辺 葛飾区郷土と天文の博物館地域史フォーラム
多摩丘陵の古城址
出版社:有峰書店新社
発行日:1985年7月初版、2000年7月新装版
ページ数:317P
著者:田中祥彦
定価:2,500円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
「歴史に関心をもったのを縁として、自分がいま生活している多摩丘陵の古城址を、自分なりに記録にとどめておこうとしたのが本書である。本書が手がかりとなって、一人でも中世の古城址に理解と関心を示す人が出てきたとしたら、私の意図するところが達成されたことになるのである。」
と著者が述べている通り、専門家書いた書籍ではない。そのため、文書の語尾は確定的な物言いは避けるように書かれているため抵抗を感じる方もあろうが、縄張図、復元イラストも豊富で近くを散策する際には手軽な参考書となろう。現在入手が困難なのが残念。
八王子城とオオタカ -八王子城跡保存運動40年間の記録-
鷲城・祇園城・中久喜城 小山の中世城郭
出版社:随想舎
発行日:1995年10月初版
ページ数:142P
編者:鷲城・祇園城跡の保存を考える会
定価:1,000円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
中世下野小山氏の盛衰を語る鷲城・祇園城・中久喜城の広大な城跡の歴史と遺構の状態を詳細に解説している。あわせて、鷲城郭内でのマンション建設問題に至って国史跡指定まで実現させた、保存運動の軌跡は当時の市民運動の盛り上がりを感じられてついつい読み進めてしまう。小山市を訪れるときはぜひとも持参したい1冊である。
残念ながら現在入手が難しくなっているが、出版社である随想舎に少し残部があるようである。