出版社:神奈川新聞社
発行日:1987年3月初版
ページ数:358P
著者:小田原城郭研究会
定価:920円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「この本は、箱根山とその山麓一帯に点在する古城の中から、30箇所をえらんで解説しています。その範囲は、神奈川県西部のほぼ全域をおおい、さらに静岡県下では、小山町・御殿場市・裾野市・長泉町・三島市・清水町・函南町におよぶことになりました。この本が、この地方の古城をたずね歩くかたがたの案内書として役立ち、そしてそれが失われたこの地方の歴史の発見につながることを、私たちはひそかに念願しています。」
箱根一帯の古城の歴史、遺構、みどころなどを解説する。新書版なので携帯しやすい。残念ながら入手困難な状態であり、私は古書で入手した。
カテゴリー: 関東
かながわの城 かながわ・ふるさとシリーズ44
石垣が語る江戸城
出版社:同成社
発行日:2007年3月初版
ページ数:382P
編者:野中和夫
定価:7,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
日本最大の城郭である江戸城。膨大な石垣群に焦点をあてて、多角的かつ詳細に分析。築城から災害復旧時における修築過程、城郭立地の自然地理的環境、さらに石の切り出し現場であった小田原周辺から伊豆半島にかけて、ありし日の姿を偲ばせる数々の史資料を探索する。様々な表情を見せる江戸城の姿を、多くの写真とともに描き出す。
いわゆる学術書です。江戸城の石垣という極めて限定された対象について、歴史、資料、刻紋、石丁場と多角的に調査した結果を考察している。江戸城研究や石垣研究する方におすすめします。
図説茨城の城郭
出版社:国書刊行会
発行日:2006年8月初版
ページ数:290P
編者:茨城城郭研究会
定価:2,800円+税
オススメ度:★★★★★
書評:
本書は、茨城県内の主要な城郭跡140箇所を選び、それぞれに縄張図と解説を付して、城跡という遺跡から常陸・北下総の中近世史を語らせようと試みている。佐竹氏や江戸・大掾・真壁氏、結城・多賀谷氏らの城跡が、精度の高い縄張図を通じて、新たな歴史の扉を開いてくれる。茨城県に関する最初の本格的な城郭書。国書刊行会の「房総の城郭」に続く第2弾姉妹編。
縄張図付きの解説は、各城の訪問にはかかせないガイドとなるでしょう。編集メンバー8人をしても発行まで二年かかったというのは、各都道府県で進められている中世城館跡調査が茨城県ではまだ途上であることも影響しているものと思われる。ばらばらにある調査報告書を集めるだけでも相当に苦労したことが想像に難くない。
地元石川県では昨年17年度県内の城館跡調査が終了し、全3冊にまとめられた調査書が発行されている。石川県(旧・加賀国、能登国)は幸いにして地元有力者間の争いが少なく(能登畠山家、一向一揆衆、前田百万石という続く影響力の大きさから)、城館跡も大規模なものが少ないが、いづれは初・中級者向けに「石川の城郭」を発行してみたいと思っている。
編者のおひとり樋詰様に当ブログをご紹介いただきました。本書に関する正誤表もありますので、ぜひ一度ご覧下さい。本書に関するプロモーションビデオへのリンクもあります。かなり本格的です。
美浦村お散歩団: http://www.osanpodan.com/
藪ログ: http://yablog.blog6.fc2.com/
茨城の城郭関連ブログページ(正誤表など)
茨城城郭会
※書籍は「茨城城郭研究会」の編集です。茨城城郭研究会は「茨城城郭会」の一部有志が中心となって本書籍をまとめるために結成されました。両会は別組織ですが、同県の城郭を研究するものとして、交流によりさらに茨木県の城郭研究が進むことと思います。
多摩の古城址 -城址・砦址・館址-
出版社:武蔵野郷土史刊行会
発行日:1978年5月再版
ページ数:280P
著者:小幡晋
定価:1,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
多摩の地に城址が百城もあるという。著者は鹿児島の人であるが、多摩信の「多摩のあゆみ」の読者で一年余も前に持ち込まれたものであるという。著者の愛嬢が、立川と日野に嫁いできていて、毎年上京し、数ヵ月は滞在して古城址の散策を楽しんでいる。多摩の古城址めぐりをはじめて既に四年半になるということであった。
本書では多摩の古城址104城が紹介されている。紀行文に近いものであるが、各城址の由来や歴史にもふれ、非常に読みやすい。すでに廃刊となり、入手は非常に困難である。時代的に写真がモノクロであったり、退職したやすい紙質なのは仕方がないとして、背糊が弱く、前、後ろからページがはずれてくるのは何とかならないものか。
秩父路の古城址
出版社:有峰書店新社
発行日:1983年3月初版、2001年4月新装版
ページ数:336P
著者:中田正光
定価:1,500円+税(初版)
オススメ度:★★★★☆
書評:
『現在、埼玉県内には、文献やその他で知りうる中世の城は、およそ三百八十カ所あるが、未知のものを含めると、少なくともその倍はあるだろう。しかし、一方で開発という破壊の波は、いつまでも安らかな存在を見守ろうとはしない。いまでは山岳地帯にまで押し寄せようとしている。西部山岳地帯である秩父地方には、およそ六十ヵ所の城館跡がある。本書で取り上げたのは、その内の三十七ヵ所であるが、幸いにして当時の遺構を良好に保ち、原型を十分に知ることができるものばかりである。これら中世の城をより多くの人たちに知ってもらい、やがては「行っても何もないですよ」という返事から、「行ってごらんなさい、よく残ってますよ」という言葉が返ってくる日を心ひそかに願っている。』
37城と紹介している城は少ないが、それぞれに縄張り図、歴史など解説を加えている。現在新装版となっているが、初版、新装版ともに絶版となっており、非常に入手が困難である。