出版社:武蔵野郷土史刊行会
発行日:1980年11月初版
ページ数:275P
著者:小幡晋
定価:1,200円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「小幡晋氏は、さきに武蔵野郷土史刊行会から『多摩の古城址』を出版され好評を拍した。その続編として今回『武蔵の古城址』を世に送ることになった。中世の城郭は実に数多く築かれたものの、それらに関する史料は皆無に近く、必要性を痛感しながら、歴史の研究者には容易に近より難いテーマであり、そこに城郭研究の難かしさがある。」
著者自ら踏破した城を紹介している。先の「多摩の古城址」と同様、装丁が甘く、端のページから順に背から外れてしまう。入手は非常に困難であるが、現在は同対象の他書もある。対象区域は開発の激しい地域であるため、すでに開発されて変わった土地に関しては当時の様子を知る手がかりにはなろう。
カテゴリー: 関東
館林城調査報告書第二集 中世館林城関係資料集 -赤井氏・長尾氏・後北条氏を中心として-
発行・編集:館林市教育委員会
発行日:1999年3月
ページ数:85P
定価:1,000円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、中世館林城に関連する赤井氏・長尾氏・後北条氏に係わる関係史料を収録したものである。また、史料上に赤井氏・長尾氏・後北条氏が直接登場しない場合であっても、関係史料の理解に助けとなる史料は参考史料として掲載した。掲載史料の年代は、永享二十三年(1416)の佐貫庄周辺の動向から、天正一八年(1590)の後北条氏滅亡までを中心に選んで掲載した。」
章の始めに解説と、年代の始めに簡潔な時代背景を説明して、古文献を掲載している。本書は館林市文化振興課のホームページから購入できます。
館林市 文化財関係図書の販売ホームページ
群馬県指定史跡 榊原康政の墓調査報告書
発行・編集:館林市教育委員会
発行日:1993年3月31日
ページ数:119P
定価:1,000円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「群馬県指定史跡『榊原康政の墓』の移転は、史跡としての文化財的な価値とともに、新しい都市整備の中で文化財をどのように守っていったらよいかを私たちに問いかけ、文化財指定の意義を深く考えさせられた出来事といえます。移転が完了してから7年がたち、調査報告の機会が遅れてしまいましたが、その間、市立資料館の特別展で『榊原康政展』を開催するなど、これまで館林において未調査であった榊原家関係資料の調査を行うこともでき、多くの成果を得ることができました。今回ようやくこうした成果をふまえながら、考古学的調査結果のみならず、近世大名墓としての性格を十分鑑み、できる限りの文献調査を加えて本書をまとめました。」
上記あとがきにもあるとおり、単なる墓の調査報告書に終わらず、榊原家の文献調査結果を掲載していることで、榊原家研究の基礎調査資料としての価値も十分上がっていると思う。
本書は館林市文化振興課のホームページから購入できます。
館林市 文化財関係図書の販売ホームページ
佐貫荘と戦国の館林 館林市史 資料編2中世
発行:館林市
編集:館林市史編さん委員会
発行日:2007年3月初版
ページ数:580P
定価:3,000円(5%税込) 限定600部
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、館林地域の平安時代末から戦国時代までの史料を集め、それを編年体で配列した資料集です。これまで、自治体が編さんする歴史資料集は、専ら研究者が利用することを前提に制作されていましたが、本書は一般の方々にも興味をもっていただけるように、様々なガイドを設けてなるべくわかりやすい部分を増やすよう工夫しました。各巻の冒頭に、館林地域を代表する資料を『テーマ別資料』として、カラー版にして数点並べ、読み下しやコメントを丹念につけ、理解しやすいものにし、この部分だけ通してみれば地域の歴史の概略がわかるようにしました。」
平成13年度から始まった新館林市史の資料編第2巻である。一般的な市史よりも大きいサイズであり、紙製カバーのみの簡易装丁である。単なる資料の羅列になりがちな市史資料編を、各テーマごとにカラーで数点の資料を解説するページを設けて、通史編要素を取り入れているのが好感を持てる。館林を含む上野の地は戦国時代、上杉氏・北条氏・武田氏の抗争の地であり、関連文献も多数収録されている。おそらくフルカラーになるであろう特別編「石造物(城館・中近世考古資料)」と合わせて利用すると地域研究も進むと思われるので、刊行が楽しみである。
購入方法は以下のホームページで確認できます。
館林市史刊行案内ホームページ
*現在絶版(2009年1月24日)
絵図と地図にみる館林 館林市史 特別編第2巻
発行:館林市
編集:館林市史編さん委員会
発行日:2006年3月初版
ページ数:484P+付図4枚
定価:3,000円(5%税込) 限定1000部
オススメ度:★★★★☆
書評:
「本書は、江戸時代から現代までの館林のさまざまな姿を描いた絵図や地図・航空写真など約450点の写真を掲載しまとめたものです。江戸時代に描かれた館林城や城下町、各村ごとの村絵図。近代になって、新たな測量技術を駆使して作られた町や村の地図。そして、館林市が誕生した時の地図。こうした絵図や地図の変遷をたどることで、私たちの住む町や村がどう変化してきたか、その様子をつぶさに見ることができます。この中には、本書の編集途中で新たに発見された資料も多く、特に館林城本丸に三重櫓が描かれた徳川綱吉時代の館林城絵図の発見は、これまで知られていた館林城の歴史を塗り替えるほどの発見にもなっています。」
平成13年度から始まった新館林市史の特別編第2巻である。一般的な市史よりも大きいサイズであり、紙製カバーのみの簡易装丁である。総フルカラーのページは見やすいが、国絵図や村絵図となると元が非常に大きいため、A4サイズの本書をもってしても文字の判別は非常に厳しいのは仕方のないことか。館林城の絵図が何種類も収録されている。最近刊行を見つけたが、1年前の刊行にもかかわらず「領布終了」の文字が・・・。内容からしてこの値段は安い。1000部限定という冊数が少ないようが気がするが、ぜひとも再版を希望する。私は幸運にも古書で購入できた。
購入方法は以下のホームページで確認できます。
館林市史刊行案内ホームページ
*現在絶版(2009年1月24日)
関城地方の中世城郭跡
発行:関城町
発行日:1989年3月初版
ページ数:114P
編集:関城町教育委員会
定価:1,500円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「関城町では、これまでに町史編さん事業の一環として史料編・通史編あわせて10冊を刊行してきたが、中世史の分野でも、『関城町史』史料編Ⅲ・中世関係史料を刊行、さらにそれを踏まえた関城地方の中世の歴史が『関城町史』通史編・上巻の中で叙述されている。しかし、史料編Ⅲでは文書・記録を中心に石塔・石仏を扱ったのみで、この地方に残る中世の遺跡を取り扱うまでにいたっておらず、また、通史編では遺跡・遺物を若干取り上げたものの、書物の性格上、十分な検討を行うことができなかった。本書はこうした欠を補うべく、関城地方に現存またはかつて存在した城郭遺構(城跡)に注目し、遺構の現状や性格について検討しようとするものである。」
関城町(現在の筑西市)の城館跡の調査報告書で、関城町史の別巻扱いとなっている。郵送もしてもらえるが、現金書留・着払いなので予想以上の出費になります。
筑西市有償刊行物一覧ホームページ
新編高崎市史 資料編3 中世Ⅰ
発行元:高崎市
発行日:1996年3月初版
ページ数:628P+付図4枚
編者:高崎市史編さん委員会
定価:4,500円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本巻は中世という時代に、高崎の地で造られ残されてきた、和田城・倉賀野城等の城館址、遺構・遺物等の考古資料、更には、阿久津町玄頂寺の五輪塔・浜川町来迎寺の宝篋印塔・山名町光台寺の石仏等の金石文資料、その他中世に関係する数多くの資料を一冊にまとめたものです。このような、中世考古資料の刊行は、中世資料の世界を豊かにするものとして、全国的にも例が少なく画期的な試みであります。」
先に中世Ⅱ(文書・記録)が発刊されているので、高崎の中世を調査するときは合わせて購入したほうがよいであろう。文字が多少小さいような気がするが、資料編であるから内容が充実させてページ数を減らすという方針があったのであろうから問題ないであろう。私は城館址編を目的にこの巻のみ購入したが、付図は国土庁の1/10000地図上に城館址の位置が書いてあるので重宝する。
高崎市 有償刊行物ホームページ
高崎城絵図 -「櫻井一雄家文書」を中心に- 高崎市史資料集1
発行元:高崎市
発行日:2006年3月初版、2006年10月2版
ページ数:129P
編者:高崎市総務部庶務課市史資料担当
定価:1,500円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「高崎市が『櫻井一雄家文書』の寄贈を受けて7年の年月が経過しました。市指定重要文化財に指定されたこの貴重な資料を市民の皆様に公開することは、寄贈してくださった櫻井氏へのご好意に報いる最善の方法ではありましたが、市史編さん室としては『新編高崎市史』の刊行業務に追われ、公開が叶いませんでした。編さん事業終了後各方面のご理解を得て、組織を引き継いだ庶務課市史資料担当の最初の刊行物として、この度高崎市史資料集1『高崎城絵図』を発刊することができました。」
高崎城について寄贈された資料を掲載する。一城について詳細な絵図と解説を掲載した資料集は貴重であろう。絵図の印刷状態も良く、絵図上の文字もほとんどが解読できるほど鮮明である。初版1000部があっという間に売り切れたため、半年を経てようやく再販されました。
高崎市 有償刊行物ホームページ
城郭と中世の東国
出版社:高志書院
発行日:2005年11月初版
ページ数:362P
編者:千葉城郭研究会
定価:5,200円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は千葉城郭研究会の二十周年を総括した論文集である。この二十年は、中世東国史研究の飛躍的進展があり、城館研究にも大きな発展がみられた。新たな史料の発見と従来の研究の見直しが相次ぎ、それにともない中世史全体の底上げが図られたのである。城館も、多様な歴史資料の一つとしてようやく研究の対象と認知され、いまや城郭史学として、独立した研究分野をも形成しつつある。」
執筆している方は千葉県を中心に城郭研究をフィールドワークとしている方々なので、内容が専門的ではあるが、房総の城郭に興味のある方、城郭研究の最前線に触れたい方にはお勧めしたい。
とちぎの古城を歩く 兵どもの足跡を求めて
出版社:下野新聞社
発行日:2006年10月初版
ページ数:242P
編者:塙静夫
定価:1,900円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
本書は、栃木県内に築かれている城館跡を探訪するためのガイドブックである。難しい地名や人名にはルビが振られていて読みやすい。写真付きで108城館、巻末の一覧で106城館紹介されている。各城館の歴史や現状などが記載されているが、地図が地区ごとのブロック単位の地図にポイントされているにすぎず、現地まで辿り着けるかどうかが問題である。「古城を歩く」と題している以上は、現地までの案内地図、や現地を歩くポイントの図などがあるとよかったと思う。写真もフルカラーで高い価格ではないので、一冊持っていてもよいでしょう。