熊本の城 熊本の風土とこころ10

熊本の城 熊本の風土とこころ10
出版社:熊本日日新聞社
発行日:1975年7月初版
ページ数:223P
編者:鈴木喬
定価:650円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「県下の城は古代から近世まで数え上げれば四百をこえる。そのうち近世の城は一般に特に関心が高いので、これに相当の頁数をあてたため、四百の古代中世の城からは、七十七城しか選定できなかった。これには地域的なバランスや写真の効果、歴史的な重みなどの問題があって、編者が一番頭を悩ましたところである。近世城郭については名城ものが数多く出版されているが、古代・中世まで拡げて県単位でまとめたものは、おそらくこれがはじめての試みではなかろうか。」
古い本にしては近世城郭に偏らない収録が珍しい。時代ではあるが、ほぼモノクロであり、城の歴史を中心とした解説である。
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中世伊南と南郷の城館調査報告書 南郷村の文化財(9)

中世伊南と南郷の城館調査報告書 南郷村の文化財(9)
編集・発行:南郷村城館跡調査団
発行日:1987年3月31日
ページ数:82P+図版16P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「南郷村は中世において、伊南郷の河原田氏、伊北郷の山内氏の支配下におかれ、それぞれの領土が接する重要な位置にありました。戦国時代には幾多の戦闘も行なわれ、河原田氏と田島の長沼氏が合戦したと伝えられる『答崎の古戦場跡』や、その戦いで、討死した長沼方の兵士を埋葬した『光明院塚』が、今も南郷の地に残されています。村では、昭和五十五年度から村史編さん事業に着手し、祖先の歴史の解明にあたっております。霧の彼方の中世の時代を語ってくれる村内の古城址につき、村史の関連から、これまで三次にわたり中世城館址の遺構確認測量調査及び踏査略測調査を実施してまいりました。天正十七年の伊達政宗軍侵攻の際、城中の者が皆殺しにされた悲劇の城『和泉田城』の調査をはじめ、今まで全くその存在を知られていなかった『片貝城』が発見されるなど、時間的にも予算的にも制約のあるなかで、望外の大きな成果をあげることができました。」
福島県の伊南地方の城館調査報告書で、各城館について縄張り図と構造・歴史について解説がついています。

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一戸城跡 昭和57年度発掘調査概報 一戸町文化財調査報告書第6集

一戸城跡 昭和57年度発掘調査概報 一戸町文化財調査報告書第6集
編集・発行:一戸町教育委員会
発行日:1983年3月31日
ページ数:30P+図版18P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
「当町の代表的な城館址である一戸城跡については既に昭和54年に道路建設に伴なう事前調査として発掘調査を実施致しましたが、道路が開通するに伴ない周辺は格好の開発適地となり種々の計画が立案され現在に至っております。一方、東西350m、南北700mの大規模な城館址である一戸城についてはその文献資料が少なく、その範囲、構造等についてもほとんど不明となっていましたが、先きの調査により、各館を巡る大規模な堀のなかに木製品、更には植物遺体、動物遺体を内包する重要な遺跡である事が判明致しました。以上から当教育委員会では、各種開発計画に先だち遺跡の規模、内容をより確実に把握し、遺跡の範囲を確認するための発掘調査を計画致しました。今年度はこの第1次調査の初年度にあたり主郭と考えられる八幡館東方の館の範囲を確認するため実施しました。調査では、当初予定していた堀は検出できませんでしたが主として近世以降の陶磁器、あるいは鉄製品、石製品、古銭などが出土しております。」

書評:
図版の航空写真では一戸城の曲輪の輪郭がよく分かる。
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古写真に探る熊本城と城下町

古写真に探る熊本城と城下町
発行:肥後上代文化研究会
発行日:1993年9月1日
ページ数:129P
著者:富田紘一
定価:2,000円(当時) 絶版
オススメ度:★★★★☆
書評:
「往時の熊本城は、大小の天守をはじめ数多くの櫓がそびえていた。大天守は3層6階、小天守は2層4階で南北に並んでいる。このほか時期により違いはあるが、五階櫓が6棟、三階以下の櫓も多数存在した。加藤時代にほぼ完成された城郭は、細川時代になって整備と保守を加えながら明治維新を迎えている。城郭としての死命を終えた熊本城は明治の激動の中で荒波を受けることとなり、ついに明治10年(1877)2月19日、西南戦争の直前に原因不明の失火により消失して姿を消すことになった。城郭の配置や間取りは絵図によって記録されているものもあるが、具体的に姿を見せてくれるのは皮肉にも明治の文明開化がもたらした新しい写真の技術であった。当時の写真技術からすると、撮影一つ取ってみてもまだ簡単にできるものではなく、地方において明治初期の風景が記録されることは数少ない時代であった。往時の姿をとどめた撮影初期から10年2月に焼失するまでを、古写真の撮像から熊本城の変遷を探ってみたいと思う。」
城の古写真を載せている本は多いが、城下町を含めて一城の古写真を収録したものは珍しい。写真サイズも大きく鮮明で、解説付きで写真風景を楽しめるのは大変良い。

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熊本城絵図 (城内・町割図)

熊本城絵図 (城内・町割図)
刊行:熊本日日新聞情報文化センター
発行日:1989年
ページ数:3枚
定価:2,600円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
永青文庫より3枚の熊本城関係の絵図を収録したもの。市販されたものですが、何のきっかけで出版されたものなのか分かりません。元図が大きいので書かれた文字は少々読みづらいですが、大きい2枚はカラーなので原図の雰囲気は良く伝わり、熊本城下町の様子がよく分かります。

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日輪城(恒吉城)跡 急傾斜崩壊対策工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書 第1次調査

日輪城(恒吉城)跡 急傾斜崩壊対策工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書 大隅町埋蔵文化財発掘調査報告書20
編集・発行:鹿児島県大隅町教育委員会
発行日:2000年
ページ数:54P+図版25P+付図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「日輪城(恒吉城)は大隅町恒吉に所在する山城です。恒吉地区には現在県内最古となった石橋である太鼓橋をはじめとする貴重な文化遺産が多く残り、住民の方々の文化財に対する関心も多大なるものであります。この地域の台地は、姶良火山の爆発による火砕流であるシラスによって構成されているため侵食に弱く、日々崩落の危険にさらされております。日輪城(恒吉城)跡付近も例外ではなく、貴重な人命を守り、同時に文化遺産の重要性を認識するため、防災工事とこれに伴う埋蔵文化財発掘調査を実施することになりました。調査の範囲は城のごく一部ではありましたが、本文にもありますとおり多くの遺構がみつかり、実態が不明瞭であった日輪城(恒吉城)跡の姿がおぼろげながら見えてまいりました。」

書評:
防災工事に伴う発掘調査であるが、炉状遺構がたくさん出ている。付図は発掘調査地図の拡大版です。炉状遺構について周辺城跡との比較がされています。
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倭城の研究 第四号 -特集 ソウル大「倭城図」と韓国の倭城研究-

倭城の研究 第四号 -特集 ソウル大「倭城図」と韓国の倭城研究-
編集・発行:城郭談話会
発行日:2000年7月31日初版
ページ数:175P
定価:2,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
「本書は、特集として”ソウル大「倭城図」と韓国の倭城研究”を組んだが、報告部分は城郭談話会の第10回倭城址踏査会の成果による。」

書評:
城郭談話会の「倭城の研究」第四号。5号まで発行されている。現地の写真と縄張図により、研究書のような体裁となっている。2号以下は岩田書院の「雑誌」コーナーで購入できる。
岩田書院
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史跡広島城跡 二の丸第二次発掘調査報告 広島市の文化財第44集

史跡広島城跡 二の丸第二次発掘調査報告 広島市の文化財第44集
編集:発行:広島市教育委員会社会教育部管理課
発行日:1989年3月
ページ数:39P+図版10P+折込付図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「広島市では、広島の歩んできた歴史を知る貴重な財産である史跡広島城跡を、将来にわたってよりよい姿で継承していくために、保存管理計画の策定にひきつづき、整備基本計画をまとめてまいりました。平成元年度からは、史跡広島城跡二の丸表御門の復元、御門橋の改修に着手することとなり、いよいよ城跡整備がスタートいたします。発掘調査は、この計画を推進するための基礎資料を得る目的で、昭和62年度から実施してきたものです。発掘調査の結果、昭和62年度には、表御門及び平・多聞・太鼓の各櫓の礎石を確認しました。また、昭和63年度においては、馬屋跡、番所跡の礎石及び井戸の遺構を確認することができるなど、二年度にわたる発掘調査によって、藩政時代の二の丸内に所在した建物などの規模、位置が、ほぼ明らかになりました。」
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史跡広島城跡 二の丸第一次発掘調査報告 広島市の文化財第42集

史跡広島城跡 二の丸第一次発掘調査報告 広島市の文化財第42集
編集:発行:広島市教育委員会社会教育部管理課
発行日:1988年3月
ページ数:31P+図版10P+付図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「昭和64年、広島城は築城400年を迎えます。また、この年は広島市が市制を施行して、100周年にあたる年でもあります。この記念すべき年に、史跡広島城跡保存管理計画の策定並びに整備基本計画の策定等、着々とその準備を進めているところです。今回の二の丸発掘調査は、史跡広島城跡の保存・整備に向けて、城内の遺構の保存状態を把握すると同時に、城跡の保存・整備のあり方、方策等を検討するための基礎資料を得ることを目的として実施したものです。発掘当初、城内の数多くの遺構は明治以後の時代の変化の過程で壊されているのではないかと考えられていましたが、今回の調査によって、藩政時代に二の丸に建っていた表御門・平櫓・多聞櫓・太鼓櫓の四棟の遺構を確認することができました。また、出土品の中には、従来不明であった二の丸の築かれた時期を示唆する陶磁器類も含まれるなど、大きな成果を収めることができました。」
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図説近畿中世城郭事典

図説近畿中世城郭事典
編集・発行:城郭談話会
発行日:2004年12月31日
ページ数:342P
定価:4,000円(税込)
オススメ度:★★★★★
書評:
「関西在住の城郭研究者が、自由に意見交換できる場として、城郭談話会を設立して今年20年を迎える。これを記念して新たに編纂したのが、この『図説近畿中世城郭事典』である。敗戦後の歴史学は、城郭研究を忌諱し、沈黙し続けてきた。しかし、1970年代の列島改造は山城遺構をも飲み、中世城郭遺跡は発掘調査の対象となり、数多くの成果を挙げることとなった。この結果、中世城郭遺跡は地域の中世史研究によって最も重要な遺跡として注目され、縄張り研究も認知されることとなった。その縄張り研究の成果が、『図説中世城郭事典』全三巻(1987:新人物往来社)の刊行であった。当時の中世城郭研究は、縄張り図の作成そのものであった。調査に行けば、毎回未知の城郭遺跡と遭遇した。『図説中世城郭事典』で、全国的に網羅された中世城郭の縄張り図は、こうした発見の時代を象徴するものであった。この本に誘われて城跡を訪れた人も多いことだろう。そして、1990年代は縄張りから城郭構造を分析する研究が進んだ年代であったといっても過言ではないだろう。そうした研究の飛躍的発展の成果を、今回刊行することとなったのである。」
近畿地方の200箇所の城跡について、基本見開きで城跡の構造と縄張図を掲載している。縄張り研究には非常に役立ち、前述の「図説中世城館事典」とともに揃えたい一冊であるが、入手経路が分からなかった。本書は長年捜し求めていたが、今回ようやく入手することができた。

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