出版社:学研
発行日:2006年6月初版
ページ数:157P
監修:三浦正幸
定価:1,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
収録城郭:東国182の城郭・陣屋
書評:
明治以来の府県を統合して道州制を導入しようとする意見が聞かれるようになったが、東日本の近世城郭では、すでに四〇〇年前から道州に相当する地方性が見られる。北海道・東北・関東・東海・中部(北陸と中央高地)の五地方に分けてみると、東日本の城の特徴がよく分かるのである。
本書で取り上げたのは基本的に、幕府直轄の城および幕末維新期まで存在していた藩の諸藩の城と陣屋である。幕府直轄地における郡代役所や代官所の陣屋、各藩の出張陣屋、藩領が確定していない新田藩の陣屋、明治維新後に大名とならなかった交代寄合旗本の陣屋は含まれていない。
本書はフルカラー、写真付、歴代城主の家紋入りの幕末城郭・陣屋事典である。
カテゴリー: 日本史
戦国武将合戦事典
出版社:吉川弘文館
発行日:2005年3月初版
ページ数:896P+索引・年表77P
編者:峰岸純夫、片桐昭彦
定価:8,000円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
本事典はm享徳の乱(1454~1482年)から島原の乱(1637~1638年)に至る期間を対象にしている。その間の国史大辞典編集委員会編「国史大辞典」に掲載されている関係項目を選定して「戦国武将編」は武将の没年順、「武家系譜編」は五十音順、「合戦編」は発生年順に配列し、巻頭では総説によって戦国時代を概観している。なお、「戦国武将編」では、武将のみではなくその縁辺に活躍した文人・芸能者・僧侶なども必要に応じて掲載した。また、付録として、「年表」「在世年表」「人名・事項索引」を掲げている。「国史大辞典」に掲載されている肖像・花押・印章・合戦屏風・系図などは数多く収録して、戦国武将の風貌に接することが出来るようにし、合戦屏風はカラー版にして合戦のイメージを実感しやすくしている。
国史大辞典全15巻はとても手が出ないという人も、戦国時代に限定すればこれ一冊でカバーできるというのはよい。内容は辞書であるので、各解説も簡潔ではあるが、一冊机上に揃えてパラパラながめていると、意外な発見があるかもしれない。
戦国逸話事典
出版社:新人物往来社
発行日:1989年1月初版
ページ数:357P
編者:逸話研究会
定価:4,800円+税
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
逸話には、その時代の人々の生きた声や姿が点描されており、隠れた話や埋もれた話の中に、人々の本音が浮かび出ている。逸話の面白さと魅力が、そこにある。戦国時代の部将たちや庶民が、乱世の中で、どんな人生の奇跡をたどったのか。避け難い人間葛藤、生きていくうえでの信条、日々の哀歓がつづられており、その断面を見ることができる。勝ちと負け、成功と失敗、表と裏など、さまざまな人間模様がある。歴史の流れと関連させながら、どの項目からでも読み出せるように構成した。そこには簡潔ながら今日にも通じる人生教訓が含まれている。
応仁の乱前後から徳川家康による江戸幕府確立期の慶長年間までを対象に、原点の文意に忠実に従い、脚色を排除している。基本的に原点(名将言行録、信長公記など)の抜粋であるので、解説はありません。
織田信長合戦全録 桶狭間から本能寺まで 中公新書
大名の日本地図 文春新書352
フィールドワーク関ヶ原合戦
出版社:朝日新聞社
発行日:2000年9月初版
ページ数:90P
著者:藤井尚夫
定価:2,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
東西両軍20万が激突した史上最大の合戦。徳川家康と石田三成、両雄の勝利へのシナリオは?400年のときを超えて今も戦場に残る高さ3メートルの塁壁は何を語るのか?「後手必勝」の戦略とは?工業デザイナーでもある著者が、精密なイラストを駆使して復元する戦いの実像。
著者は歴史群像に城郭イラストを描いている藤井尚夫氏です。本書でも著者のイラストを随所で見ることができます。その他にも縄張り図や写真、古絵図など豊富に掲載され、実際に歩きながら、関ヶ原合戦を再検証しようと試みている。非常に切り口の良い書籍であるが、古書も少なく入手が難しいかもしれない。
戦国10大合戦の謎
松任城と一向一揆 一揆の雄 城主鏑木氏を探る
出版社:北国新聞社
発行日:1988年11月
ページ数:203P
著者:鏑木悠紀夫
定価:1,600円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
「本書を書くに至った動機は、たまたま私の先祖が一向一揆の中にあって中心的役割を演じた松任城主鏑木氏であると伝えられ、先祖の歴史をまとめたいという全く私的理由によるのである。七尾城を手中にし、加賀に進攻してきた上杉謙信の前に一揆勢は殆ど屈したが、その中にあってただ一人最後まで抵抗し、遂に和睦に持ち込んだ松任城主鏑木頼信は一揆側の中心的存在として活躍し、一向一揆の滅亡と運命を共にした人物である。その頼信に代表される松任城主三代にわたる鏑木氏は滅亡後、石動山天平寺の流れをくむ寺の僧になり、神官も兼ねて明治に及んだと云われている。」
とはじめに書いてあるが、松任城と鏑木氏に関して詳細にまとめられている。松任城という歴史上あまり脚光を浴びなかった城と城主に関してまとめたものとしては面白い。これは自分が地元石川県出身ということも大いに関連あるが、松任城は一向一揆の歴史の中でも重要な場所であり、一向一揆を語る上では外せない。
テーマのマイナーさ故か、現在非常に入手が困難な状態であるのが残念である。加賀一向一揆を語る際はぜひ読んでほしい1冊である。
戦国武田の城 武田戦略と城砦群の全貌
出版社:有峰書店新社
発行日:1988年4月初版
ページ数:415P
著者:中田正光
定価:1,800円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
城郭図50余、歴史要図40余をもとに、山梨・長野・群馬・静岡・愛知各県にわたった武田氏三代の合戦と城塞群を捉え、初めて武田流築城法を解明した画期的な労作。
武田信虎、信玄、勝頼と三代に渡る歴史を辿りながら、歴史に登場する城郭を実地検分もしながら書き進めている。歴史的人物の生涯と城郭、つながっているのに本書のようにまとめているものが少ないのは、その検証と執筆がいかに難しいのかを物語っている。という意味でも貴重な1冊である。武田氏に興味のある方は欲しい1冊である。発行部数が少ないのか古書でも入手が難しいのが残念である。
高知城を歩く
出版社:高知新聞社
発行日:2000年12月初版
ページ数:207P
著者:岩崎義郎
定価:1,714円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
2006年NHK大河「功名が辻」の最終舞台、高知城を解説した書籍です。観光ガイドボランティアをされている著者によるガイド集だけあって、城郭の見方だけではなく、逸話も多く語られていておもしろいです。今年の夏は盛り上がる高知城にガイドブックを持って行けるかな?
高知新聞の関連会社(高知新聞企業)に少し残部があるようです。