編集:甲賀市史編さん委員会
発行:滋賀県甲賀市
発行日:2010年12月1日
ページ数:478P+33P+付録ブックレット「甲賀戦国の城を歩く」20P
定価:3,500円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「総数200に迫る甲賀市域の中・近世城郭に対し新たに現地調査を実施。確認できる城跡の全てを詳細な縄張図を付して紹介。その特徴を最新の城郭研究の成果に基づき解き明かします。付録として城郭探訪のしるべとなるガイドブック『甲賀戦国の城を歩く』が同梱されます。待望久しい甲賀の城案内の決定版!」
市史として城のみで一冊を刊行したのは初めてではないでしょうか。(石造物や城下町と合冊になっているものはありましたが)市史編纂に伴い、再調査されたので甲賀地域に関する最新情報が詰め込まれています。という意味でもお薦めです。これまで方形単郭と特徴付けられてきた甲賀地域の城は、実はそれだけではなかったということで、これまでの城郭研究史にも一石を投じています。付録ブックレットはこれから城跡散策を始める方にもピッタリの小冊子となっています。
最新巻のごあんない 第7巻 分野編 「甲賀の城」 平成22年12月刊行
カテゴリー: 郷土史
甲賀流 忍術屋敷伝
遠州横須賀城史談 増補改訂版
編者:藤田清五郎
発行:典照堂書店
発行日:1972年6月5日
ページ数:103P
定価:110円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「横須賀城は、馬伏塚城が発祥であり、高天神小笠原氏は、馬伏塚城主の発展である。元亀、天正年間、三城夫々攻守其の立場を異にしながらも、互いに緊密の関係にあった。馬伏塚、高天神廃城後は横須賀は藩城として、明治維新迄治政の府として地方の中心をなした。この度、再販要望の声に応えて上梓するに当り、如上の観点から、稿を更え、馬伏塚より増補し、改訂を加えて再度江湖にお目見えする次第である。」
地元の郷土史家による郷土書。横須賀城史となっているが、増補版で馬伏塚城史が追加されている。漢字の使用方法が現代の違う部分もあるが、内容はとても参考になります。近年、発掘調査を踏まえて横須賀城は整備されていますので、最新情報を合わせて読み合わせすることをお薦めします。
鹿瀬島家事蹟
美作国の山城
編集:「美作国の山城」編集委員会
発行:第25回国民文化祭津山市実行委員会
発行日:2010年10月30日
ページ数:462P+付図1枚「岩屋城跡」
定価:1,000円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「本書は、「第25回国民文化祭・おかやま2010」で津山市が主催する「中世山城の祭典」の記念冊子であります。これまで美作地域には、中世城館は約300箇所ぐらいあるのではないかと漠然と推定されていましたが、今回の調査で、その数の倍以上の666の城館があることが判明いたしました。これまで、中世城館をまとめた冊子は、美作地域はもとより岡山県内においても皆無であり、本書刊行の意義は計り知れないものがると考えています。」
今年の国民文化祭の記念冊子なんですが、これがものすごいです。400ページを越えるボリュームに、美作国の城跡の写真と縄張り図、インタビューなどが含まれています。写真はカラー、紙も上質で、制作費だけでも1000円を越えると思われるので、着払い送料がそれなりにかかりますが、価値はそれ以上ですよ。一般販売の声に応えて発行されたものですが、品切れになる前にぜひ入手してください!
北陸宮と宮崎氏
阿波の城 徳島郷土双書1
編者:湯浅良幸、鎌谷嘉喜
発行:徳島県教育会
発行日:1963年8月
ページ数:128P
定価:3,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「阿波には二百に余る城・館が記録されておりますが、そのすべてがいま見る影もなく荒れ果てています。ただかろうじて石垣や堀跡にかつてむかしの栄華と悲劇の痕跡をとどめているにすぎません。本県の城跡には美しい天守閣や、やぐらのひとつすらないことは県人としてまことに淋しいかぎりですが、しかし、建造物はなくとも、城はわれらの胸の奥深くに生きつづけているのです。」
徳島県の著名な41城館を紹介しています。時代的にモノクロですが、貴重な写真が掲載されています。すでに絶版となっていますが、新しい双書には同じものがないですから欲しいですね。
越中460年を行く 富山城探訪
信長 戦国 近江
勝興寺と越中一向一揆 桂新書1
著者:久保尚文
発行:桂書房
発行日:1983年10月初版、2007年9月第6刷
ページ数:181P
定価:800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「伏木古国府に勝興寺を訪れる時、さながら城郭のごとき寺観に驚きを禁じえない・そうした今日の寺観は、越中一向一揆の中核寺院として戦国時代を生きのびてきた同寺の歴史そのものを端的に示しているかのように思われがちである。だが、周知のように勝興寺が古国府に寺地を与えられて移ってきたのは、天正十二年以後のことである。したがって今日の勝興寺から中世における同寺の姿をうかがうことは、必ずしも正しいことではない。」
富山県の中世史の第一人者久保氏の著作。高岡勝興寺と越中一向一揆に関する論文で新書らしくないが、内容も濃く興味ある方には面白いだろう。郷土の歴史を知るのもいいことですよ。