出版社:サンライズ出版
発行日:2003年10月初版
ページ数:132P
編者:伊吹町教育委員会
定価:1,300円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
本書は、平成14年10月20日に伊吹薬草の里文化センターで開催したシンポジウム「京極氏の城・館・庭園-上平寺館・桐ヶ城(上平寺城)・弥高寺-」の記録集です。
1つに城館群に絞ったシンポジウムであるので内容は充実しています。コースの詳細もあり、訪れる際は携帯すると役立つと思われます。本書を出版しているサンライズ出版は地元滋賀県のこうしたシンポジウム記録集をいくつか発行しているので、これからも期待しています。
カテゴリー: 郷土史
ふくしまの城 歴春ふくしま文庫57
新版・岡山の山城を歩く
出版社:吉備人出版
発行日:2004年9月初版
ページ数:321P
著者:森本基嗣
定価:1,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
収録城郭:岡山県の127城
書評:
著者が所属する日本城郭文化学会では、お城というコンテンツを単に考古学や歴史学あるいは軍事学の研究対象にとどまらず、広く一般の生活の中で身近に感じる「文化」として捉え直す活動を提案している。その一つに、キャッスリングという新コンセプトの提唱があり、中世山城へのアプローチを従来の遺構調査等の学術目的にとどめることなく、もっと開放的に「お城巡り」自体をトレッキングの目的として、戦国ロマンに浸りながら森林浴や自然観察なども堪能しようという提案である。本書は単なる山城ガイドブックではなく、山城を愛してやまない一人の男性の汗と涙の奮闘記録である。読者は、あたかも一城ごとに著者と一緒に本丸に辿り着くような爽快感を共有できる。
著者のコンセプトや紙面構成は好感がもてるが、ページ数に比して多くの城を収録しているため、一つ一つの解説が短い城も多い。もう少しページ数を充実させると、より著者とともに爽快感を共有できると思うのだが。
城郭資料集成 中世北武蔵の城
出版社:岩田書院
発行日:2003年5月初版
ページ数:248P
著者:梅沢太久男
定価:11,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
収録城郭:埼玉県の116城
書評:
埼玉県のほぼ全域を包括する地域を北武蔵と総称する。この地域は中世前半には鎌倉幕府を根底から支えた武蔵武士を輩出した地域である。北武蔵の城館跡については、これまでに、1967年「日本城郭全集」4、1968年「埼玉の館城跡」、1983年「埼玉の古城址」、1989年「秩父の古城址」が相次いで出版され、県内の城館跡の具体的内容が明らかにされた。こうした先駆的研究成果を受け入れながら、城郭の記録等を整理し、改めて考古学的手法を駆使した実測図に近い城郭の縄張りが十分に理解できる概略図を作成することにした。
本書は、北武蔵の南北朝期以降の中世後期を合戦史的観点から整理し、時期区分を行うと共に、その段階に出現する城郭を、多くの史料や城郭実測図・概略図等の比較によって、その段階の城郭がいかなるものであったかという概念を抽出することに努めている。