発行:中村地図研究所
発行日:1984年初版、1994年改訂第二版
ページ数:7枚
定価:1,500円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
小田原城と城下町の復元地図です。広大な小田原城を確認できるとともに、現在(平成6年時点)その場所がどのように変化したのか比較しながら楽しむことができます。
カテゴリー: 郷土史
逆転の発想法 稲葉落城両説論争 否定の否定は肯定である
落城私考 織田信長岐阜攻略の時期
鹿島町史 石動山資料編
発行:石川県鹿島郡鹿島町
発行日:1986年3月31日初版
ページ数:1062P+付図2枚
編集:鹿島町史編纂専門委員会
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、『鹿島町史』石動山資料編である。昭和55年、町制二十五周年記念事業として、町制三十周年の昭和60年に全巻完成をめざして、町史編纂が進められることとなった。当初、資料編・石動山資料編・通史編の三編とすることが決められた。精力的に資料収集が進められ、資料編を上・下二編とせざるをえない事情となり、町制三十周年にあたる昭和60年に、町民の親しみ易い通史編を第三編として刊行し、石動山資料編は、掉尾を飾るものとして、昭和61年に刊行することとなった次第である。」
石川県鹿島町と七尾市、富山県氷見市をまたぐようにそびえる石動山に関する資料をまとめたもの。町史の資料編として編集されたものであるが、膨大な資料は他に類を見ず、石動山の研究はまずここから始めるのが良いであろう。これ以降は資料調査は進んでいないが、遺物調査が鹿島町(現、中能登町)と氷見市で行なわれている。氷見市では特に石造物に関する報告書が多く発行されている。
金沢市遺跡地図(改訂版) 金沢市文化財紀要90
編集・発行:金沢市教育委員会
発行日:1991年3月11日初版
ページ数:34P+図版33P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「金沢市教育委員会が『金沢市遺跡地図』・『金沢市遺跡等地名表』(昭和47年度)を刊行してから、はや18年の年月が過ぎようとしています。この間、当市教育委員会では土地区画整理、宅地造成、工業団地、道路改良・新設工事等にともない110件余りの発掘調査を実施してきました。これらの遺跡のうち、古府遺跡が市指定史跡に、新保本町チカモリ遺跡が国指定史跡に、同遺跡出土木柱根が県有形文化財にそれぞれ指定され、現在は公園として整備されています。このたび、遺跡地図を改訂いたしましたのは、この18年間にしないの交通網の整備化が進んだために、地図が実際と掛け離れ、実状に添ぐわなくなたこと、また数多くの遺跡が調査・発見されたために遺跡分布図・地名表の改訂が必要となったことによります。今回の改訂作業によって、さらに約60箇所の遺跡が加わることになりました。これで金沢市域には約400箇所の遺跡があることが分かりました。」
作成からすでに15年経っているが石川県金沢市では最新の遺跡地図である。すでに確認された遺跡の推定範囲が「赤」で、出土品が見つからなかった遺跡は「青」で国土地理院の地図に書き込まれていて、位置が分かりやすい。入手したものは背以外が未裁断のもので、こういう状態で流出した経緯は分からない。
石造物郡山城趾転用材調査概要
発行:郡山城史跡・柳沢文庫保存会
発行日:1975年6月初版
ページ数:180P
編者:南村俊一
定価:2,500円(5%税込)
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
「このたび当会から郡山城跡の”転用材”の調査報告書を出すことにした。すべては南村俊一氏の熱情に応えて、そのために本書は成ったようなものである。ただお断わりしておかなければならないことは執筆及び写真の殆んどを直接手がけられた南村氏には甚だ失礼な言い方になって申訳ないのだが、同君はなんといっても所謂専門家では無い。あくまでアマチュアであること。この種の調査には実に広く多方面の知識と経験を必要とするようである。例えば石仏の一面的な知識等だけでは、正確で誤りのない報告書は到底期待できるものではない。その意味では書中各種類、項目に若干の考証を加えられているものの、基本的には本城跡に於ける転用材の分布図的なものに過ぎず、『調査報告書』と称するには、いささか羊頭狗肉の謗も免れ難いやもしれない。それでもなお多くの好学者のために、本書が少しでも研究上のお手伝いに役立つならば刊行者としてもそれに過ぎた喜びはないのである。」
大和郡山城の転用石調査をまとめている。アマチュアの方がこれだけ調べあげるには相当の時間と労力を必要としたことでしょう。発行の時代もあってか、モノクロページのみで写真もあまり精度がよいとは言えませんが、郡山城の石垣調査においてはまず本書を基礎として進めることができるでしょう。興味ある方は柳沢文庫で購入できます。
柳沢文庫 出版物ホームページ
史跡鳥越城跡附二曲城跡環境整備事業報告書
編集・発行:鳥越村教育委員会
発行日:2001年3月初版
ページ数:147P+図版39P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「白山麓のなかほどに位置する鳥越村は、古代は白山信仰の行者が盛んに往来し、中世は本願寺門徒が一向一揆に活躍する場として知られ、豊かな歴史的遺産が数多く残されています。その中でも、『国指定史跡鳥越城跡附二曲城跡』は、北陸の中世史において見逃す事の出来ない一向一揆の史跡です。鳥越村としましては、村民憲章に『一向一揆の史跡をもつふるさと』とうたい、活力ある村づくりの原点として、史跡鳥越城跡附二曲城跡をとらえていることから、本丸の建物遺構に基づいた建物復元をなんとか実施いたく、『基本計画』を策定し、文化庁、石川県と協議しました。その結果、平成9年から12年の4カ年計画で、『史跡等活用特別事業(ふるさと歴史の広場)』として、国庫補助事業の採択をしていただき、史跡整備を実施することになりました。当初、基本計画で予定していた箇所で、発掘調査結果等により若干変更した部分もありますが、城門、柵列等歴史的建造物の復元、一向一揆歴史館の建設、屯舎の建設、本丸遺構等の史跡整備を実施し、4カ年間の事業をようやく終了することができました。これらの事業は、今後、史跡見学者の史跡に対する学習等に絶大なる効果を発揮するものと期待しているところであります。」
本書は、建物が復元されるなど整備された石川県鳥越城跡の整備計画に係る経過をまとめたものです。併せて、復元前の発掘調査結果と一向一揆歴史館建設に関する経緯もまとめてあり、整備方針など詳細に理解できます。本書は古書の出回りもなく購入ままならなかったので、一部をコピーで入手した。
天堂城跡 -奥能登最大規模を誇る城跡遺構と温井一族を考察-
著者・発行:高井勝己
発行日:2000年11月1日初版
ページ数:75P
定価:1,500円 自費出版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「天堂城跡は、奥能登地域最大の規模を誇る城跡で、能登守護畠山氏の重臣温井氏が北辺の守りのために築城したと伝えられている。奥能登地域には、鎌倉初期に地頭職として入部した長谷部一族が穴水城を拠点として縄張りを巡らしていたが、畠山氏が守護となり入部すると、畠山氏の被官遊佐氏や温井氏が台頭することとなり、能登の主要地に進出したと見られる。このため、室町中期以降は、長谷部氏と肩を並べて温井氏の名が登場する。」
石川県輪島市の天堂城跡とその周辺城砦を自主調査してまとめた労作。県内でもあまり知られていない天堂城であるが、規模としては国史跡の七尾城、鳥越城に次ぐ大きなものである。本書片手にぜひ踏破してみたい。
本書は、高井勝己氏に直接はがきで申込みして購入できる。
伊勢一国旧城跡附 三重県郷土資料叢書第29集
発行:三重県郷土資料刊行会
発行日:1975年5月初版
ページ数:89P
著者:不明
校訂:倉田正邦
定価:会員実費配布 限定出版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「最近のお城ブームは歴史の研究する人達よりも『城』の本質をつかむという根拠による人々の熱によっているようだ。ことに、戦国時代の古城跡となると歴史学の中でも不明な点が多く、郷土史をひもどく上で、どうしても明らかにせねばならないことであるが、あまりにも文献が少なく、ただ、この場に城があったという程しか知られていないのが現状である。それでかねてから古城跡について、明らかなるものはないかと調べあげたのが、この伊勢国に対する『伊勢一国旧城跡附』とであった。しかし、この筆者はわからないのであるが、ひとまづ、私が二十年も以前に写しとったノートがあったので、それを紹介することにとどめたのである。」
箇条書きで伊勢各郡の古城が記されている。原書がかなり古いものと思われるような文章で、非常に読みづらいところではあるが、一時期伊勢でどういう古城が把握されていたのかを知ることができる貴重な資料である。
よみがえる滝山城 戦国の風雲をかけぬけた天下の名城
出版社:揺籃社
編集・発行:滝山城跡群・自然と歴史を守る会
発行日:2007年11月初版
ページ数:80P
著者:中田正光
定価:700円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
「城郭の成立とその後の改築などの変遷を明らかにすることで、未知なる過去が甦る。戦国時代に関東で活躍した武将たちを取り上げるとともに、滝山城・高月城を初めとする各城郭を精査し、迫力ある縄張り図や鳥瞰図を用いて解説。」
著者は「埼玉の古城址」「秩父路の古城址」を書いた中田正光氏であり、その城郭論はすでに折り紙付きでお勧めできる。イラストも多く用いられて、初心者であっても飽きない作りとなっており、滝山城へ訪問の際はぜひ携帯して城攻めを楽しんで欲しい。