出版社:西田書店
発行日:1991年2月初版
ページ数:218P
著者:兵頭与一郎
定価:2,300円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「昭和49年12月15日付の新聞各紙に内藤昌氏の安土城天守復元図が公表された。『国華』に発表された内藤氏の『安土城の研究』の論文と図面を見たとき、”これはおかしい”と直感した。史料的素性の怪しい『天守指図』に基づいて作られたこの復元案を細かくチェックしてゆくと、基本的な構成に無理があり、いい加減な推測と独断的措定によってでっち上げられたもので、『信長公記』や南蛮史料のデータを充足することができず、矛盾と疑問だらけで、どうにも納得できぬものであった。」
著者は当時、日本城郭文化研究協会常務理事、「素人が専門家の論文に対して」と謙遜しているが、かなりの意欲作です。残念ながら絶版になっていて入手は非常に困難ですが、時々古書として出回ることがあるので地道に捜してみてください。
カテゴリー: 郷土史
上州の諸藩(下)
出版社:上毛新聞社
発行日:1982年12月初版
ページ数:275P
編者:山田武麿
定価:1,300円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本県には幕末維新の時、前橋・高崎・館林など九つの藩があった。江戸時代の初めから途中で廃城になったものを合わせると、おおよそ十三を数える。その所領は上野国全体の八割強に当たる。つまり県民の大半は江戸時代、そのどれかの藩の支配をうけていたのである。こうした封建支配の関係は歴史的にはいろいろな問題を含んでいるが、藩は近代的な行政区とちがって、それぞれの地域に住んでいた領民の生活様式や文化意識に何らかの個性的な影をおとしている。城や陣屋の跡、城下町の町割、神社や寺院、各種の祭礼などはその徴証の一端であろう。編集にあたって、初めは全一冊を予定して藩の大小により紙数を配分したが、実際には種々の事情で大幅に超過してしまった。このため上下巻二冊とし、藩庁の所在によって西毛編、東毛編に分け、総社・高崎・安中・小幡・七日市・吉井の六藩を上巻に、前橋・沼田・伊勢崎・大胡・館林等を下巻に収載することとした。」
本冊は上下合わせて、江戸時代の上州(栃木県をほぼカバー)にあった藩をカバーしている。高価な本に負けないくらいの情報量を、当時であっても手頃な価格で盛り込んだ良書といえる。郷土書の良い見本のような企画であるが、残念ながら現在は非常に入手が難しくなっている。ほとんど出てこない古書を地道に探すほかに入手する方法はないであろう。
上州の諸藩(上)
出版社:上毛新聞社
発行日:1981年9月初版
ページ数:243P
編者:山田武麿
定価:1,200円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本県には幕末維新の時、前橋・高崎・館林など九つの藩があった。江戸時代の初めから途中で廃城になったものを合わせると、おおよそ十三を数える。その所領は上野国全体の八割強に当たる。つまり県民の大半は江戸時代、そのどれかの藩の支配をうけていたのである。こうした封建支配の関係は歴史的にはいろいろな問題を含んでいるが、藩は近代的な行政区とちがって、それぞれの地域に住んでいた領民の生活様式や文化意識に何らかの個性的な影をおとしている。城や陣屋の跡、城下町の町割、神社や寺院、各種の祭礼などはその徴証の一端であろう。編集にあたって、初めは全一冊を予定して藩の大小により紙数を配分したが、実際には種々の事情で大幅に超過してしまった。このため上下巻二冊とし、藩庁の所在によって西毛編、東毛編に分け、総社・高崎・安中・小幡・七日市・吉井の六藩を上巻に、前橋・沼田・伊勢崎・大胡・館林等を下巻に収載することとした。」
上州は小藩のあるため、藩史事典の類では詳細がほとんどない藩も多い。そういう中である程度の分量を持って解説されている本書のような地元の本は貴重な存在である。地元加賀藩の関係としては、分家の七日市藩が出ているので欲しかった。古い本でもあるのでなかなか古書としても出回らないが、地道に探してみてほしい。
知らなかった!驚いた!日本全国「県境」の謎
近世の城と城下町 -膳所・彦根・江戸・金沢-
出版社:サンライズ出版
発行日:2008年3月初版
ページ数:217P
編集:滋賀県文化財保護協会
定価:1,600円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「関ヶ原の合戦で天下を掌握した徳川家康は、江戸幕府を開き、重要地に譜代大名を配置して城を築き、城下町の整備を行いました。近江では、井伊氏の彦根城と戸田氏の膳所城がそれにあたります。これらの城と城下町は、幕府支配の要地として江戸時代を通じて幾度かの改修を行い維持されてきましたが、明治維新によって二つの城は対照的な結末を迎えることになります。」
昨年8月12日に安土城考古博物館で開催されたシンポジウム「城と城下町 -彦根藩と膳所藩を中心に-」と、関連する博物館講座2講座をまとめた記録集です。最新の発掘調査を分かりやすく解説されています。講演集ですのでよみやすいものとなっています。
伏見城 日本古城友の会機関誌「城と陣屋」
重要文化財 備中松山城
まぼろしの帰雲城
出版社:新人物往来社
発行日:1973年7月初版
ページ数:272P
著者:佐々克明
定価:880円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「」
本作より13年後著者による「眠れる黄金の城 帰雲城大崩壊」ではほぼ同じ構成で帰雲城研究の総まとめを行っている。天正大地震で城下町ごと土砂に埋まったことから埋蔵金伝説となって有名になった城であるので、古い本書も古書は非常に高価となっていたが、ようやく比較的安く入手できた。
帰雲城燃ゆ 白川郷・騎馬軍団と埋蔵金秘話
遠州小山城史考
発行:靜岡教育出版社
発行日:1988年3月初版、1995年6月三版
ページ数:29P
著者:桐田幸昭
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「私が小山城のことを書き始めたのは昭和三十年『榛原郡坂部村史稿』で、吉田町の周辺の町村史を書く時は必ずこれに触れた。各種の文献や各地の史跡を調査している途中で『遠州小山城』の重要な役割に注目し、郷土史を書く者として一度はこれを整理したいと思っていた。たまたま昭和六十年より吉田町として小山城趾を整備することになり、六十二年九月十三日には天守閣型五層の大展望台が竣工した。そして毎日たくさんの参観者がここに見えられた。参観者の中には小山城史や城郭について知りたいと語る人も少なくなかった。そこで極めて通俗的であるが小山城趾を解説し、読者の皆様が既に持っておられる知識の整理に役立てばと思い、本書を執筆し歴史に興味を持つ方々の机上に送ることにした次第である。」
静岡県の小山の歴史に関する小冊子である。小冊子であるが郷土の方が調査されて書かれているのでなかなかに詳しい。まえがきから推測すると、表紙の写真が大展望台のようだ。この冊子もその大展望台で販売されていたものなのかもしれない。