発行:バンカ
発行日:1879年8月初版
ページ数:309P
著者:真田寿郎 私刊
定価:1,300円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「前田百万石の黎明期にメスをいれ、その礎となった佐々成政との末森合戦と城跡を鮮明に考察。」
末森山の近く羽咋市で喫茶店を営む著者が、前田利家の百万石への契機となった末森城の戦いの周辺を調査しまとめたもの。末森城に関する書籍は少なく、本書は貴重な存在であるが、私刊のためか古書の出回りも少なく入手が非常に困難である。ようやく入手することができた。定価よりは高価であったが、それだけの価値はあるだろう。
カテゴリー: 郷土史
平成19年度春の企画展 中世からのメッセージ -遺跡が語るひろしまの歴史-
編集・発行:広島県立歴史博物館
発行日:2007年4月27日
ページ数:81P
定価:1,200円(税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「1970年代以降に国土の開発が急激に進み、各地で中世遺跡の発掘調査がさかんに実施されるようになると、文字資料ではわからなかった事実が次々と明らかになってきました。遺跡から掘り出された多様な資料によって、文字の記録には残されなかった中世の人々の生活や社会の様子が復元できるようになったのです。そこで当館では、近年の広島県内における中世遺跡の発掘調査を紹介し、遺跡から明らかになった地域の歴史を学習するための機会として、この展覧会を企画いたしました。」
フルカラーで各遺跡の遺物や遺構が簡潔に紹介されている。
遠賀郡・中間市の文化財
讃岐・江戸時代の町、村、島
出版社:文芸社
発行日:2008年10月初版
ページ数:246P
著者:木原溥幸
定価:1,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「平賀源内の郷土・讃岐の江戸時代の様子を、丹念な史料の調査を重ね、不確かな推量や独断を排して再現。高松城下町、金毘羅、村と農民、塩飽など、かつてそこにあった人々の暮らしを伝える。」
著者が香川大学を退職するのを機に自らの論文を集めて発行した「地域にみる讃岐の近世」(美巧社)の中から江戸時代の讃岐(香川県)の歴史を特徴づけるものを選んで収録している。論文集といえば高額になるものも多い中、手頃な価格で讃岐という特定の地域を知ることができる良書であろう。高松城下町や大坂城石切丁場など城愛好家に興味深い記事が並んでいる。
わたしの東濃戦国史
村長かけある記 鳥越の里に愛込めて
出版社:北國新聞社出版局
発行日:2008年12月初版
ページ数:97P
語り部:板倉武雄
定価:476円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「教師から県庁勤務、そして行政の責任者としての道を歩む中で、行財政に携わることは、苦難の連続であった。“頑固もん”が地域興しに無私の執念を注ぎ続けた『ふるさと愛』の足跡を綴る。」
本書の語り部となっている板倉武雄さんは平成合併で白山市となる直前の鳥越村の村長です。本書でも紹介されている鳥越一向一揆歴史館の友の会会長を創設以来続けられており、私もバス旅行などで何度かご一緒しました。本書を読むと、一向一揆という難しい素材で村おこしをした経緯がよくわかりました。値段も手頃ですし、文字も大きく読みやすいですよ。
佐古諏訪山考
第二回特別展 桑山一族の興亡 -桑山氏新庄入部四〇〇年記念展-
発行:新庄町歴史民俗資料館
発行日:2001年10月6日
ページ数:40P
定価:700円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
「平成13年は、近世大名桑山氏が新庄の領主として入部して、ちょうど400年にあたる記念すべき年です。今回の特別展では桑山氏発展の祖である重晴から、関ヶ原の戦い、新庄入部と領内経営、大坂の陣、桑山氏改易とその後の桑山氏の様子と、時代の流れにそって展示を構成しました。」
平成13年10月6日から11月18日まで同館で開催された展示図録です。カラーで古文献や合戦屏風、新庄城絵図などが掲載され、桑山氏に関しての貴重な資料集と思います。
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国史跡鮫ヶ尾城跡と信越国境の城館遺跡
編集・発行:妙高市教育委員会 生涯学習課
発行日:2009年3月1日
ページ数:8P
定価:講演会参加者配布
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「長野県境と接する妙高市には、戦国時代に在地領主の活動拠点となる城や上杉氏が直接管理する城、村落の自衛のための城など、さまざまな規模、用途の城がつくられました。」
前回のシンポジウム「鮫ヶ尾城と直江兼続の生きた時代」に続く第二弾「戦国の城と合戦」の講演会参加者に配布された小冊子です。妙高市にある鮫ヶ尾城、鳥坂城、西城城、猿橋城が紹介されています。
地域史再考 中世の加悦 城・市・町・信仰について
出版社:かもがわ出版
発行日:2009年2月初版
ページ数:121P
著者:和久田薫
定価:1,000円+税5%
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「丹後国の史料『丹後国御檀家帳』をもとにした新説に異議を唱え、新たな事実や視点を提示しながら、戦国期の個性的な地域像の実体を再構築する。安易な歴史理論や歴史ロマン主義への寄りかかりに警鐘を鳴らす。」
著者はいろいろな史料から地元の中世歴史に疑問を感じ、いろいろと調べた結果が本書である。そこに大きな地元愛を見ました。調査の過程で専門家に「そういうことは専門家に任せておけばよい」と言われたこともあったようだが、地元史は郷土史家の努力の上に成立していることも忘れてはいけないと思う。筆者の努力に拍手です!たぶん発行部数は少ないと思いますので興味ある方はお早めに。