発行:金沢市
発行日:2002年3月初版
ページ数:220P
編集:金沢市都市政策部文化財保護課
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「町名や地名は、その土地の歴史や由来、情景を現代に語る、市民共有の貴重な無形の文化遺産であると言えます。本市では、これらを後世に継承するため、特に由緒が明らかで市民に親しまれているものについて標柱を設置する『金沢市歴史のまちしるべ標示事業』を昭和54年度から継続実施してきました。本書では平成13年度までに設置した219箇所の標柱をご紹介します。」
金沢市内至るところに立てられているまちしるべの碑(標柱)を紹介した本です。初版本(本書は第四版)は偶然にも古本屋で入手したが、一般販売されていないので図書館で借りてきました。164箇所の町名、25箇所の坂道、16箇所の用水・堀、11箇所の字地と1箇所の街道にこれら標柱は立っています。標柱を巡りながら金沢市内を散歩すると思わぬ発見があるかも!?しれませんよ。
カテゴリー: 金沢検定参考書
日本の金箔は99%が金沢産
新版 金澤百萬石の城下町 美しきニッポンの遺産
かなざわ・まち博百科
発売:北國新聞社
発行:かなざわ・まち博2006開催委員会
発行日:2006年7月28日
ページ数:143P+付録「かなざわ・まち博マップ」
定価:1,200円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「非戦災都市金沢には、前田家百万石の城下町として栄えた江戸期の史跡や寺社、町並みと明治、大正、昭和の時代を伝える建造物の多くがほとんどそのままの姿で残っています。そして、恵まれた自然環境や風土のなかで市民が大切に育んできた伝統や文化が脈々と今に息づいています。『かなざわ・まち博』は、金沢のまちを博覧会場に見立て、生活する市民にまちの魅力を再発見してもらおうと企画され、2000年7月29日朝、北陸鉄道のループバス『犀星』『鏡花』『秋声』号の発車式からスタートしました。まちを学ぶ多彩な講座や散歩学、イベントなどへの参加者数は年々増えており、今年4月に試行した春のまち博も成功裏に終了しました。」
金沢市内の約1200ヵ所の見どころやお店を紹介する。毎年夏に開催される「かなざわ・まち博」の平成18年度の公式ガイドブックですので、イベントスケジュールはすでに役立たないものになっているが、たくさんの見どころを紹介しているので付録マップを一緒に持っていれば、金沢を観光する際には非常に役に立つでしょう。地元の方には隠れた見どころ発掘の手がかりとなります。一冊目は2001年、本書は2006年、今年は新しい版出るのでしょうか?
金沢検定予想問題集2008
シリーズ「遺跡を学ぶ」011 江戸のミクロコスモス 加賀藩江戸屋敷
出版社:新泉社
発行日:2004年12月初版
ページ数:93P
著者:追川吉生
定価:1,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「東京大学・本郷キャンパスは戦火をまぬがれ、その後急激な再開発がおこなわれなかったため、江戸時代の遺構が良好な状態でのこされていた。上は藩主から下は奉公人まで数千人は暮らしていたといわれる『江戸の小宇宙』加賀藩本郷邸の姿を考古学から明らかにする。」
考古学の発掘調査を一般向けに解説した本。初心者にも取り付きやすいように、イラストや写真がカラーで掲載されているのは大変よい。加賀前田藩の江戸上屋敷については書籍も少ないので、知りたい方は入手しても損ありませんよ。
同時期の発掘調査についてもっと詳細に知りたい方は、「加賀殿再訪」(東京大学出版会刊)をご覧下さい。
赤門は知っている
出版社:叢文社
発行日:2007年11月初版
ページ数:158P
著者:野村昭子
定価:1,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「東京都文京区本郷の東京大学の地は、加賀百万石前田藩の江戸屋敷だった。現代まで180年を生き抜いてきた赤門(御守殿門)が見つめてきた時代を、『加賀藩史料』と新発掘史料にもとづいてひもとく。」
東大の赤門、それは将軍家斉の娘、溶姫が加賀藩十三代斉泰に輿入れするために普請されたものである。加賀藩に嫁ぐといえ加賀へ移動した訳ではない、当時斉泰は江戸本郷の加賀藩上屋敷に住まいしていたため、江戸城から加賀藩上屋敷に移動しただけである。しかし、その後幕末の情勢のなか加賀へ下向することなる。溶姫の生きた時代を加賀藩史料の記載を引用して紹介する。現在、石川郷土史学会副会長。
小松黄門 前田利常公
出版社:北国新聞社
発行日:1989年10月初版
ページ数:205P
著者:野村昭子
定価:2,000円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「前田家存続のため苦悩を背負った三代藩主の治世。前田利家の四男にして、関ヶ原合戦により運命をかえられた利常公。」
先頃「赤門は知っている」(叢文社刊)を出版し、郷土に関する数々の著書のある野村昭子さんの作。加賀藩三代利常は数々のエピソードで知られているが、その生涯は意外に知られていない。利常の生涯を資料を丁寧に拾い上げながら紹介する。現在、石川郷土史学会副会長。
処女作「加賀藩と越前屋物語」と比べると若干入手が容易である。地元古書店で偶然見つけて帯付の比較的状態のよいものを購入できた。
加賀藩と越前屋物語
出版社:北国出版社
発行日:1987年10月初版
ページ数:183P
著者:野村昭子
定価:1,500円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「野村昭子さんは、著作者でもなく、文人でもない。強いて言えば加賀藩以来の『加賀つまみ絵』の作家である。そもそも、野村家は、金沢市西町に住む一町人ではあるが、素をたずねると、れっきとした武士の流れをくむひとである。この一冊の本には、その事がくわしく記されている。市立図書館には、精魂を傾けて通いづめ、また時には奈良県片岡城まで出かけ調査をし、その他いろいろと訪ねあるくという熱心さであった。ここで野村家と加賀藩の関係が解明されただけでなく、加賀藩の一面も伺い知ることが出来る。」
先頃「赤門は知っている」(叢文社刊)を出版し、郷土に関する数々の著書のある野村昭子さんの処女作。自分の家系に関する加賀藩との関わりに関してまとめたものであるが、そこからは当時の加賀藩の情勢の一面を知ることができる。現在、石川郷土史学会副会長。
発行部数のためか入手が非常に難しい。地元古書店で偶然見つけて購入した。
寺島蔵人と加賀藩政 化政天保期の百万石群像
出版社:桂書房
発行日:2003年9月初版
ページ数:383P
著者:長山直治
定価:2,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「寺島蔵人は藩政批判をして三度も咎められた。文政元年藩主斉広の始めた「御国民成立仕法」で「百姓は米を食わぬよう」とされた時は、米が食べられない民がいるのを藩主は恥としないのか、藩主は民のために存するのではないか、と痛烈に批判。大塩平八郎の乱には「尤も」と共感。能登島に流刑となるが、批判精神はそのまま、ボロを着て「ちょぼんとしちべた(尻)」を出す少女にまで視線を注ぐ優しさも最後まで失わなかった。江戸期の政治とは何か、現代社会に通ずる根源的な問いをめぐる物語。 」
非常に分厚い本である。加賀藩の化政期・天保期をここまで解説した一般本は稀である。本書は、一度編集者により咀嚼された石川県史に頼る歴史感に危機感を示し、加賀藩史料など原本にあたって新事実を追究している。専門的で読みやすいとはいえないが、加賀藩史を研究する方はぜひ一読を。