出版社:実業之日本社
発行日:2005年7月初版
ページ数:245P
著者:本多静六
定価:1,000円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
近代日本において、企業家として財をなした人や、親の代からの資産を守り育てていった人はたくさんいます。しかし、本書の著者である本多静六(1866-1952)のように、貧農に生まれ、苦学して東大教授にまで出世しながら、その一方で蓄財と投資に励み、ついには途方もない財産を築くことに成功した人は、決して多くはないでしょう。しかも、その著書を通じて、お金に対する考え方や蓄財の方法、成功するための人生哲学について真正面から説き、後世まで影響を与え続けた存在となると、本多博士をおいてほかにありません。
本書は、本多静六が最晩年に書いた三部作の大団円をなすもので、経済的にも社会的にも豊かに生きてきた人生の大先輩が、少年期から楽老期に至るまでの過ごし方の秘訣を、次代へ伝えるためにまとめたものです。すでに半世紀以上を経たとはいえ、その深い内容はいまなお光を失っていません。とりわけ、高齢化社会を予見したかのような、長いスパンでの人生計画の勧めは、本多哲学の真骨頂といえましょう。本多博士をかねてから高く評価していた、本田健氏による書き下ろしの解説も必読です。
投稿者: Tadashi
会社にお金が残らない本当の理由 岡本吏郎
出版社:フォレスト出版
発行日:2003年12月初版
ページ数:252P
著者:岡本吏郎
定価:1,500円+税
オススメ度:★★★★☆
書評:
「この本を読むことで、あなたはつぶれない会社を作る方法を知ることになります。会社は儲けなくては意味がありません。しかし、しぶとく生き残っていく知恵は儲ける知恵と同じくらい大切なものです。なぜなら、人はうまくいくことが続くことはないからです。あなたがパッと儲けて消えていくつもりなら、この本は大して役に立ちません。しかし、長い期間を通じて、ビジネスというゲームの中で、あなたが点棒を稼ぎ続けようと考えるならこの本は大切な一冊になるでしょう。」
経営者ならまずこの書名に惹かれるでしょう。決算書は黒なのにお金が残っていないという実感のある中小企業経営者は一読しても損はありません。
[マネ]するマーケティング 儲けた人はみんなやっていた! 岡本吏郎
成功はどこからやってくるのか? 「成功法則」の取扱説明書 岡本吏郎
裏帳簿のススメ あなたの会社にお金が残る 岡本吏郎
出版社:アスコム
発行日:2004年7月初版
ページ数:269P
著者:岡本吏郎
定価:1,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「『決算書』では儲かっているのに、なぜお金がないのか?中小企業が手にしている『決算書』の『利益』は利益ではなく、『税金のために計算した、利益を水増しした数字』でしかない。こんなものを見て、『儲かっている』と信じていたら、赤字なのに税金をとられて、会社からお金が消えていくだけだ。だからといって、『脱法行為をしろ』と言いたいのではない。あくまでも、会社にお金が残る仕組みを作る方法があることを知ってもらいたいだけだ。いまの時代は、下手な節税や脱税をしたら、余計にコストがかさむだけで、何の意味もないのだ。」
決算書を読めない中小企業経営者に向けての指南書。税理士であり、コンサルタントである著名な著者によるベストセラー。
城下町の今昔 総集編 住まいと生活の情報誌せきれい
発行・編集:名鉄不動産 総務部 せきれい担当
発行日:2007年3月初版
ページ数:93P
定価:非売品
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
「弊社では、地域の皆様とのつながりを一層深め、住まいに係わる様々な情報を発信したいとの考えから、平成七年十月より年四回のペースで、『住まいと生活の情報誌「せきれい」』を発刊してまいりました。特に、第三十五号からは、シリーズ『城下町の今昔』という特集を組み、この地方に残る『城下町』の歴史や文化、祭祀、伝統工芸など、その町に根付く息吹や、人々の郷土愛を感じていただこうと、十二回にわたり人と町にスポットを当て、紹介してまいりました。今回、シリーズを終えるにあたり、この地域にお住まいの皆様には、より深い知識と愛着を持っていただきたいと願うとともに、他の地域の皆様には案内書の一助としていただきたく、この総集編をお届けする運びとなりました。」
名鉄不動産が自社のお客様向けに発行していた会報誌「せきれい」の特集をまとめている。フルカラーでまとめた記事はいわゆる企画モノであるが、読んでいると早速にでも訪れたくなる。
城下町金澤 町割覚書
発行:古川脩(自費出版、限定200部)
発行日:1999年1月初版
ページ数:342P
著者:古川脩
定価:非売品
オススメ度:★★☆☆☆
書評:
「現在の金沢市内には六枚町・富本町・南町・沼田町などと言うバス停や、馬場小学校・味噌蔵町小学校と言うのがあるが、これらは昭和三十七年五月十日『住所地表示に関する法律公布施工』により凡て消滅してしまった町名で、藩政時代からの町名を辛うじて存続している所でも、その位置や範囲が往時より著しく異なっていて戸惑うことが多い。また藩政中より連綿と伝わっている町名の中には、木ノ新保七番丁・玉井町・島田町・柳町・日吉町・折違町などあるが、これらの町の殆どはJR金沢駅の構内となり駅前広場と冷たい鉄路だけがむなしく横たわっている。それでは第二次大戦以前の旧市内にどんな町があったかと調べてみると三百六十余りの町名があり、更に藩政時代に遡ればこれ以外に二百有余の町名や小路名があったが、現在も町名として残っているのは僅か百箇所にも満たない。これら町名の故事来歴を知るには日置謙編『加賀郷土事彙』が最適であるが、索引が厩仮名使いで五十音順となっているため、関連事項を取っ変え引っ替え探さねばならぬ焦れつたさがあり、単に町名の由来を知ろうとするのに一万五千円もする『加賀郷土事彙』を入手するのは・・・と考える人のため、他に『改作所旧記』『加賀志微』などからも引用しその労を省き『亀尾記』の如く旧七聯区を巡り歩く形式に並べ替えてみた。尚、各聯区毎に藩士の名簿を付けたが、これは明治維新より七年程前の文久初期に作られた『加賀藩組分侍帳』に記載されている直臣約千五百名を居住地別に振分けたもので、他に百五十二の寺院に振分けた『加賀藩士檀家別名簿』百二十四頁を作ったが『町割覚書』とは異質であるため別冊とした。」
自費出版である著者はこの編集に七年もかかり漸く完成させたそうだ。内容を見ると、金沢城下町の現在と当時の比較のみならず、各地区別に居住していた藩士の名簿を付けて、城下町の調査には非常に分りやすい構成で十分な内容と思える苦労の大作であろう。金沢市は旧町名の復活に積極的であり、すでに6つの旧町名が復活している。旧町名の復活をさらに進める上でも、本書を金沢市から正式に復刊してみてはどうかと思う。発行部数が少ないため、入手は非常に難しいかもしれない。
七尾城の歴史
発行:七尾城の歴史刊行会
発行日:1968年7月初版
ページ数:315P
著者:片岡樹裏人
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、七尾城と畠山氏についての文献をできるだけ集め、文献に忠実、ということに重点をおいた。畠山氏の社稷が漸く揺らぎはじめた天文年間から、城陥るに到った天正年間までを中心に、その前後を含んだ能登畠山全時代の諸事実と、事実を通した私なりの考察で、七尾城の歴史を幾分なりともうかがい知ろうとしたものである。」
七尾城と畠山氏の歴史に関する史料を集めて編年でまとめている。七尾城の構造については触れていないが、歴史に関してはかなり詳細に調べてあるので、七尾城を研究するときには必携の一冊である。発行部数が少ないのか、古書にもなかなか出てこない。
図説 再見大阪城
出版社:大阪都市協会
発行日:1983年9月初版
ページ数:222P
著者:渡辺武
定価:2,000円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「この本は大阪城についての体系だった概説書として書かれたものではない。写真集でもないし、論文集や随想集でもない。もちろん物語りでもない。名称のつけにくい妙な本であるが、これまで大阪城について出された本としては先例のないものであるし、他の域についても類品はないように見うけられる。もともと財団法人大阪都市協会の月刊誌『大阪人』に1981年4月から1983年3月まで二年間にわたって連載した『再見・大阪城』というグラフ中心の軽い読み物なのである。しかし読み物とはいえ、大阪城の歴史的な移り変わりについては基本的な史料や遺跡・遺物の紹介が必要なので、どうしても全国からそれらの写真を求め、いちいち解説を加えて少しでも正確な紹介を目指すことになりがちであった。イラストや図表の一つ一つにもオリジナルな工夫を施したものが少なくない。こうして、大阪城の歴史と現状についての歴史と現状についての資料写真と解説のミックス版が生まれた。しかし、雑誌連載中に記事の中の誤りや説明の不十分さについて熱心な読者からその都度有益な指摘をいただき、誌上を借りて訂正をさせて頂いた例もあり、後日、自ら気付いて訂正の機会を待っていた項目も少なくない。これらをすべて取り入れ、連載後明らかになった新しい情報をも最大限もりこんで、新しく整理編集しなおしたのが本書である。」
図説という銘だけあって、写真やイラストが非常に多く掲載されている。惜しいのは、巻頭のみカラーで内容はモノクロだということ。カラーで伝わる雰囲気というのもあるので残念である。が、それぞれの写真に解説がついていると思えば、とても有益な書籍である。現在は再増補版が販売中。
郷土の城ものがたり 丹有編
出版社:兵庫県学校厚生会
発行日:1972年11月初版
ページ数:148P
編者:郷土の城ものがたり丹有地区編集委員
定価:270円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「学校厚生会は、このたび郷土の城に重点をあて、これらの城をとりまくもろもろの話を、県下における郷土史家・会員である学校の先生がたのお力添えをいただき、さきに発行した『郷土の民謡』につづく第二弾として県民各位・児童生徒の諸君に送ることにいたしました。」
郷土の城シリーズの丹有地区。但馬・丹有・淡路・阪神・東播・西播・中播・神戸の全8冊から成る。先生が児童に向けて書いている前提なので、読みやすい。城の構造的な部分はほとんど触れてなく、城の歴史や物語を中心にまとめている。収録の城も少ないので、一城単位では十分な分量ではなかろうか。