出版社:吉川弘文館
発行日:2006年9月初版
ページ数:276P
著者:小和田哲男
定価:2,500円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書は、私(著者)が豊臣秀吉について論じた五冊目の単著となる。それぞれの本でも、当然のことながら秀吉の合戦履歴にふれてはいるが、合戦そのものを中心に論じたものではなかったため、合戦の事実関係、具体的な経過にふれても、その合戦が、秀吉の天下統一の過程でいかなる意味をもつのかといった大局的な見方はほとんどできなかった。その意味で、本書は、私にとっても秀吉という人物を見直すよい機会だったと思っている。本書は、近年の発掘調査の成果なども盛りこみながら、現時点における私の研究の到達点を示したつもりである。また、新しい史料が発見され、そのことによって事実関係が新しく明らかになった点がいくつかあったことはもちろんであるが、逆に、これまで通説とされてきたことに対し、史料の見直しを通して、疑問を呈し、検討を加えた箇所も少なくない。」
日本の歴史における戦争・内乱を採り上げ、戦争の原因・過程・被害・結果を通して、人間にとって戦争とは何であるかを考える素材を提供しようとする、吉川弘文館発行の「戦争の日本史」第15巻。本書は第1回配本となります。
投稿者: Tadashi
若狭の中世城館
能見城跡 送電線鉄塔建設に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書
編集・発行:韮崎市教育委員会、韮崎市遺跡調査会
発行日:1998年6月初版
ページ数:40P+写真図版6P+城跡地図1枚
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
書評:
本書は、山梨県韮崎市穴山町字能見城3808番地ほかに所在した能見城跡の発掘調査報告書です。精巧な測量図や写真が豊富に載っています。発掘報告書にしては珍しい論文もあり、平山優氏が書いています。能見城は新府城の外郭とされているので、武田勝頼や新府城を研究するときは参考になるでしょう。
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朝日山城跡 氷見市埋蔵文化財調査報告第26冊
大坂・近畿の城と町 懐徳堂ライブラリー7
名城と合戦の日本史
出版社:新潮出版
発行日:2007年5月初版
ページ数:217P
著者:小和田哲男
定価:1,100円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「日本史を、城をめぐる合戦によって俯瞰してみようとしたのが本書である。日本の城の歴史を概観した本はすでに何冊もあり、また、合戦の歴史そのものを扱った本も結構でている。しかし、その二つをドッキングさせた試みはこれまであまりなかったように思う。城をめぐる戦いということになると、攻城戦・籠城戦が多くなる戦国時代からが中心となるが、戦国時代だけでなく、幕末・明治維新期にかけての戦いも取りあげている。名城と合戦を通して、日本史の流れをつかむことができるよう、できるだけ、年代順に配列した。」
本書は、「週刊名城をゆく」(2004年2月10日号~2005年2月8日号・小学館)の連載「戦略検証」に大幅な加筆を施し、新たに編集したものです。一つの章は4~5ページに簡潔にまとめられているので、興味あるところから読むことも、年代順にページを追って読むこともできます。城を合戦と結びつけて描く著者の読みは面白く、サクサクと読めます。
検証 本能寺の変 歴史文化ライブラリー232
出版社:吉川弘文館
発行日:2007年5月初版
ページ数:263P
著者:谷口克広
定価:1,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「天正十年(1582)、天下統一を目前に織田信長が襲われた。明智光秀は単独犯なのか、果たして黒幕が存在したのか。本能寺の変にいたる過程を、史料を吟味して再現。様々な仮説を検証し独自の考察を加え、真相に迫る。」
本能寺の変を題材として用いた書籍は多いが、信憑性の低い史料を元にているものもあり、まさに玉石混合の状態である。小説としては面白いが歴史としては良いとは言えないと、著者は信憑性の高い史料を厳選し、無理のない解釈を進めようと心掛けている。そういう意味では、題名から奇抜な展開を望む読者には物足りない面があるかもしれない。
ビジュアル版 城の日本史
出版社:角川書店
発行日:1995年6月初版
ページ数:198P
編者:内藤昌
定価:2,800円+税
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「従来、この種の本は、城の軍事的要素のみを強調して、人間社会の集住様態としての都市の性格を、ほとんど無視してきている。これは、日本城郭史の研究が、第一次から第二次におよぶ世界大戦中の軍国主義はなやかな時代に始まったことに起因しているのであるが、不思議なことに、そのいわば旧弊が今日でも活きている。しかし、城の都市的建築が造られた宗教・政治・経済の社会的背景、すなわち日本史的意義を、単に戦うことの機能以上に評価しなくてはならなくなっている。本書は、そうした体系的視座による研究成果をもとに、可能なかぎりフィジカルに図説することを特色とする。」
最初にカラーページが数ページあるが、残りはモノクロである。ビジュアル版と銘打つだけあって写真が図が多く使用されているが、城郭史の渡期に出版された本であり、現在よりまとまった本が数多く出版されていることは事実である。安土城天守の復元で有名な内藤氏の編集によるものなので、内藤氏流城郭史として一冊購入するのがよいだろう。
越前朝倉氏一乗谷 眠りからさめた戦国の城下町
発行・編集:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館
発行日:2005年2月初版
ページ数:88P
定価:1,300円(5%税込)
オススメ度:★★★★☆
書評:
「越前の長い歴史の中で、文化面でひときわ光彩を放ったのは、100余年の間、越前の首府として栄え、戦国大名朝倉氏5代が育んだ一乗谷文化でした。史跡一乗谷朝倉氏遺跡は、戦国城下町の実像の見える遺跡として全国的に著名となり、現在20万余の方々がここ一乗谷を来訪されています。そして、来館者から越前朝倉氏や一乗谷朝倉氏遺跡に関する最新の発掘調査・研究成果を盛り込んだ手頃な図録の要望が多くなってきました。そこで、今度、これらの要望に応えるべく平成10年度に京都と横浜で開催し、好評を得た巡回展図録のデザインを一新して刊行しました。」
一乗谷朝倉氏遺跡に関して知るには手頃な史料である。と言っても写真も豊富で解説も簡潔すぎることはない。一乗谷遺跡に関する一冊目としておすすめの一冊である。
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館ホームページ
古文書が語る朝倉氏の歴史 第15回企画展
発行・編集:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館
発行日:2006年7月初版
ページ数:110P
定価:1,300円(5%税込)
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「古文書は過去の歴史を知るための基本的な資料で、当館としてもこれまでに県内外において鋭意資料の収集をはかってきたところです。そして、昨年はその成果として『朝倉氏五代の発給文書』を刊行しました。掲載史料は四七八点に及び、これまでにない充実した内容となりました。今回の展示は、その成果を受けて企画したものです。朝倉氏は最後、織田信長や一向一揆によって滅ぼされたため、まとまって伝世された資料はほとんどありません。しかし、朝倉氏が領国越前の寺社や在地に宛てて出した文書、京都の幕府や大寺社とやり取りした文書は、多くの所蔵者に分散して残っております。これらの文書はこれまでの軍記物などによる固定した朝倉氏のイメージを根本的に書き替える重要な史料です。今回の展示では、こうした朝倉氏の歴史を物語る古文書を中心とし、あわせて朝倉氏ゆかりの文書や出土品を展示し、一乗谷朝倉氏遺跡に対する理解を深めていただこうとするものです。」
本書は福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館第15回企画展「古文書が語る朝倉氏の歴史」(会期平成18年7月21日~9月3日)の展示図録です。展示品は鮮明なカラー写真です。簡潔な解説文が付いていますが、もとは「朝倉氏五代の発給文書」の発行を記念した企画展なので、一緒の購入をおすすめします。
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館ホームページ