白山市(石川県)は、加賀藩二代藩主前田利長も城主を務めた松任城の歴史に光を当て、文化遺産としてのその名を後世に伝える取り組みを本格化させる。
1968年に整備された公園の名称は、城跡に若宮八幡宮の「御仮屋」が建てられたことに由来する。市などの調査で「御仮屋」は現在の公園内ではなく、隣接する市松任文化会館付近にあったことが分かり、旧松任市時代から史実にふさわしい公園名への変更を検討していた。
一方で、憩いの場として長く親しんだ「おかりや公園」の名称存続を求める声も根強い。さらに松任城の往時の姿を偲ばせる遺構は内堀跡の石垣の一部、櫓土盛りなどがあるだけで、都市基盤の整備に伴い、城のあった事実が見えにくくなっている。
市はフォーラム開催や広報への歴史紹介文掲載を通じて、同公園が由緒ある松任城の本丸跡であることを周知し、市民が後世に松任城を語り継げるように情報を提供していく考え。8月上旬に開くフォーラムは「歴史に学ぶ松任城」と題し、郷土史研究家の蒔田達雄氏の基調講演やパネル討論などを予定している。(北國新聞2007年6月3日付記事)