七尾市は新年度、国史跡「七尾城跡」の取得に向け、国、県との協議を始める。城跡はすべて私有地のため、これまで本格的な発掘調査が行われていないものの、中世の能登畠山氏が拠点とし、往時の城郭や石垣など貴重な遺構が多く残る。取得後は石垣、建造物の調査を行う方針で、将来の一部復元も視野に、全容解明を進めていく考えである。
七尾城跡は、標高約300メートルの本丸跡を中心に、総石垣造りの郭群や石垣、土塁や出城跡などが東西800メートル、南北2.5キロメートルの間の約200ヘクタールの山地に残っており、このうち9.8ヘクタールを1934(昭和9)年に国が史跡指定した。
市教育委員会によると、七尾城跡は廃藩置県後に政府から民間に払い下げられ、現在は約3分の2を地元地権者1人が所有、残りは32人が共有している。私有地のため、発掘など所有者の負担が生じる大規模な調査はほとんど行なわれていない。
市は、七尾城跡取得のため国に交付金を要請する方針で「取得できれば、中世山城の研究がさらに進むことが期待できる」としている。(北國新聞2009年3月11日付記事より)